今回の技術で作製した「木の葉状太陽電池」(写真:Yulia Galagan/Holst Centre)
今回の技術で作製した「木の葉状太陽電池」(写真:Yulia Galagan/Holst Centre)
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 薄膜太陽電池に関する欧州の技術組合「Solliance」は、フレキシブルな有機薄膜太陽電池(OPV)をオール・インクジェットで作製することに成功したと発表した(発表資料)。

 セルの形状を自由に設計できる点が最大のメリットで、三角形のセルや木の葉状のセルも作製できるという。また、基板を選ばないため、ロール・ツー・ロールでの製造も可能だとしており、OPVモジュールの低コストでの量産につながるとする。

 このOPVは、フレキシブル基板の上に、銀(Ag)電極、高伝導性のPEDOT:PSS、ZnO、活性層、高伝導性のPEDOT:PSS、Ag電極の6層をインクジェット技術で積層して作製したものである。作製したセルの寸法は1cm×2cm。これを用いて作製したモジュールは、5インチ角(約12.8cm角)であるという。

 作製には、コニカミノルタ製の産業用インクジェット・ヘッド「KM512」と、ドイツRoth&Rau社のインクジェット・プリンタ装置「LP50」を組み合わせて利用した。製造プロセスの最高温度は120℃であるという。

 Sollianceは、オール・インクジェットでの作製に当たって、まずスピンコート法でOPVを作製した。その上で、各層のインクが下の層を壊さないようなインク材料を開発して、今回のOPVを作製した。

 変換効率については「具体的な数字はまだ明かせない」(Solliance)が、OPVをスピンコート法で作製した場合の75%以上を実現しているという。