事業説明会に登壇したKengeri氏
事業説明会に登壇したKengeri氏
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微細化投資の負担は重くなる一方
微細化投資の負担は重くなる一方
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Cortex-A12に関してARM社と協業
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2.5次元ICへの取り組み
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3次元ICへの取り組み
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 半導体ファウンドリー大手の米GLOBALFOUNDRIES社は2013年12月5日、東京都内で事業説明会を開催した。同社 Vice President Technology Architecture, Office of the CTOのSubramani Kengeri氏が登壇し、ファウンドリーと顧客が開発初期段階から密に連携する、同社が「Foundry 2.0」と呼ぶ事業モデルの重要性を説いた。

 先端半導体の開発と製造には、莫大なコストが掛かる。Kengeri氏が示した資料によれば、20/14nm世代における量産工場のコストは40nm世代に比べて約1.7倍、プロセス開発コストは約2.2倍、チップ設計コストは約2.5倍になる見通しという。こうした状況に対応するには、ファウンドリーとファブレス企業、アセンブリ企業などが連携して技術開発を進めることが欠かせない。実際、同社は半導体メーカーや材料・装置メーカー、プロセス開発のアライアンス・パートナーなどに加えて、多くの設計サービス企業やIPベンダー、EDAツール・ベンダーなどと開発の初期段階から協業を進めるようになった。

 そうした協業の事例として、英ARM社が2013年半ばに発表したモバイル機器向けプロセサ・コア「Cortex-A12」に関して、GLOBALFOUNDRIES社の28nmプロセスを適用したPOP(processor optimized package)を業界に先駆けて共同開発したことを紹介した(関連記事)。この他、ドイツInfineon Technologies社とはマイコン向け40nm世代混載フラッシュ・メモリ技術を共同開発しており、米Peregrine Semiconductor社とはSOI基板を用いたRFスイッチIC技術に関する協業を進めている。

 説明会後の質疑応答では、米Intel社がここにきてファウンドリー事業への本格参入を表明したことへの見解を問われ、Kengeri氏は次のように答えた。「ファウンドリー市場は大きく伸びているので、その市場を取り込みたいと考える企業が出てくるのは自然な流れ。だが、Intel社のようなIDMがファウンドリー事業を手掛けることの難しさは(米AMD社の製造部門を母体とする)我々が経験済みだ。そこには多くの課題が待ち構えており、転身は決して容易ではない。自社製品の売り上げが非常に大きいIntel社のようなケースでは、ファウンドリー事業の顧客との競合(conflict)がどうしても避けられないだろう」。

 日本の半導体メーカーが工場を売却する動きが相次いでいることに関し、こうした工場の買収を検討するかという質問も飛んだ。これに対しては「我々の投資家は長期ビジョンに立って半導体業界の仕組みを大きく変えたいと考えている。その実現のためには手段を選ばない」とした。