ウェザーニューズの北極海の海氷を観測する超小型人工衛星「WNISAT-1」が、2013年11月21日20時40分(日本時間)ごろから約15分間、千葉市美浜区のビル屋上に設置したアンテナ(主局)と東京大学に設置したアンテナ(副局)から通信を行える千葉/東京周辺上空を通過した。主局では、その間の約12分間、30秒に1回の頻度で衛星から送られてくるビーコン信号を受信。ビットエラーが発生しているため、信頼性の高い信号受信とはならなかったが、WNISAT-1が想定内の軌道に乗っていることが確認できた(関連記事)。

 ビットエラーが発生したことについては、幾つかの要因がある。まず、ロシアからWNISAT-1の軌道情報が届いていなかったため、予想軌道に基づいてアンテナの向きを決めざるを得なかったこと。アンテナの向きがずれると、信号のノイズレベルが上がる。加えて、千葉/東京周辺上空を通過する1回目のWNISAT-1の軌道では、仰角(エレベーション)が26度程度と低かったこと。仰角が低いほど、アンテナと人工衛星の距離が大きくなることから、信号の減衰によって信号のノイズレベルが上がる。

 WNISAT-1の2回目の千葉/東京周辺上空の通過時刻は同日22時20分ごろ(日本時間)から。今度は、軌道の仰角が30数度と高いうえ、ロシアから受け取ったWNISAT-1の正しい軌道情報に基づいてアンテナの向きを制御する。さらに、受信機の設定を調整するなどチューニングしてエラーのない信号の取得を目指す。エラーのない信号を取得可能な設定がはっきりすれば、それ以降はその設定を適用することで正確な信号を受信できるようになる。なお、2回目は地上側からのコマンド送信も試みる予定だ。

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