市場調査会社の富士経済は、ワイヤレス給電モジュールの国内市場について、2025年には673億円規模へ成長するとの予測を発表した。2012年比では96.1倍となる。

 調査対象としたのは、電磁誘導式、磁界共鳴式、電界結合式、マイクロ波式の給電モジュール。市場は、スマートフォン、電気自動車(EV)とプラグイン・ハイブリッド車(PHV)、タブレット端末、サーフェイス給電システム、無人搬送車(AGV)、埋め込み式ペースメーカー向けを対象とした。

 2013年の市場規模は前年比14.3%増の8億円を見込む。現在は電磁誘導式がほぼ100%を占めるが、磁界共鳴式の市場が2014年頃から、また、マイクロ波式の市場は2016年頃から立ち上がるとみられる。

 電磁誘導式は2010年頃から小型AGVに搭載され始めた。2011年にNTTドコモがWPC(World Power Consortium)規格のスマートフォンを市場投入し、その後、ソフトバンクモバイルやKDDIが追随し、スマートフォン向けを中心に市場が広がっている。今後はEV・PHV向けの市場が2015年以降に立ち上がり、また、2025年頃からペースメーカーなどへの応用が始まると富士経済はみている。

 磁界共鳴式は2014年からスマートフォンに採用され、2015年からは電波法改正に伴いEV・PHVに搭載される見通し。EV・PHV向けを中心に市場が形成され、2020年頃から本格的な普及期に突入すると富士経済は予測する。

 電界結合式は、2011年からタブレット端末やノート・パソコンに搭載されているが、搭載機種が少なく、市場は低迷している。同方式は、水平方向の位置自由度が高い、電力伝送部の発熱がない、形状自由度が高い、高周波対応性があるという利点から、さまざまな携帯型機器への搭載が検討されており、市場は2015年以降本格化する見込みという。

 マイクロ波式は、2015年の電波法改正を契機として、2016年頃からサーフェイス給電システム、2018年以降にEVへの搭載が予想される。これらの需要増に伴い、市場は2020年頃から拡大していくとみられる。