ノルウェーScatec Solar社が南アフリカのノーザンケープ州に建設した出力75MWのメガソーラー(出所:ドイツSMA Solar Technology社)
ノルウェーScatec Solar社が南アフリカのノーザンケープ州に建設した出力75MWのメガソーラー(出所:ドイツSMA Solar Technology社)
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 ノルウェーScatec Solar社は11月、南アフリカに建設した出力75MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が、予定より3カ月前倒しで送電網に接続したと発表した。2012年11月に着工、10か月後の2013年9月27日に売電を開始し、11月12日に本格運用を開始した。アフリカにおける現時点で最大規模のメガソーラーで、南アフリカ国営の電力事業者であるEskom社に20年間、電力を供給する。

 今回のメガソーラーは、南アフリカ政府による独立系発電事業者からの再生可能エネルギー調達プロジェクト「Renewable Energy Independent Power Producer Procurement Programme(REIPPPP)」の一環として建設したもの。太陽光、風力、小水力の3種の再生可能エネルギーによる発電所を合計で47カ所に建設し、それぞれの発電所と20年間の売電契約を結ぶプロジェクトである。

 この47カ所の再生可能エネルギーによる発電所のうち、27カ所が太陽光発電所となっており、この27カ所の合計出力は1048MWとなる。このREIPPPPの後押しもあり、南アフリカをはじめとするアフリカでは今後、数十MWクラスのメガソーラーの建設が相次ぐ。

 REIPPPPプロジェクト全体の総投資額は740億ランド(約7210億円)だが、Scatec Solar社によると、このほかに17カ所の発電所が加わっており、1000億ランド(約9745億円)に増額する模様だという。

 今回のメガソーラーは、南アフリカのノーザンケープ州の面積105ヘクタールの羊牧場に建設した。土地は羊牧場から借りている。約31万2000枚の太陽光パネルを設置し、年間予想発電量は、一般家庭約3万3000世帯の電力使用量に相当する約13.5万MWhである。

 建設の資金面は、Scatec Solar社の自己資金のほか、ノルウェーの官営ファンドであるNorfund、ノルウェーの投資会社であるSimacel社、南アフリカの投資会社であるStanlib社、南アフリカの銀行であるStandard Bank社、南アフリカの生命保険会社であるOld Mutual Life Assurance社が投資したという。設備投資費については、Standard Bank社が融資した。今回のメガソーラーによる売電収入や配当金の一部は、半径50km圏内の地域コミュニティの社会的、経済的発展に向けた取り組みを支援するために使われる。

 プロジェクト全体で、約30万人分の新たな雇用を生み出すことも目標に掲げられている。今回のメガソーラーの建設では、ピーク時には600人以上が従事し、そのほとんどは現地で雇用した従業員とする。ユニークなのは、建設かかわった全従事者のうち、16%が女性であると強調していることで、このように性別まで記述している発表は珍しい。これらの女性たちは、管理や運営、建設まで幅広い職種で採用したとする。

 また、発電開始後の運用・保守の要員は10~15人とし、運用・保守でも現地の地域との連携を20年間かけて深めていくことを強調している。

 Scatec Solar社には、伊藤忠商事が約37.5%出資している。Scatec Solar社では、今回の出力75MWのメガソーラーに続いて、さらに、南アフリカで合計115MWの二つのメガソーラーを建設する計画である。北ケープ州に建設する出力40MWのメガソーラー、東ケープ州に建設する出力75MWのメガソーラーで、いずれも2014年中に発電を開始する予定。

 今回の75MWのメガソーラーを含めて、Scatec Solar社が建設した太陽光発電所の合計出力は300MWに達したという。

 また、パワーコンディショナー(PCS)メーカーのドイツSMA Solar Technology社も、今回の75MWのメガソーラーへの採用を発表している。SMA Solar Technology社が供給したのは、84台の中央制御用PCS、42台の中間変圧器、840台のストリング監視システムである。