ON Semiconductor社のMamoon Rashid氏と雨宮隆久氏
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ONSemiの概要
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注力する製品領域
注力する製品領域
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 中堅アナログ半導体メーカーの米ON Semiconductor社は2013年11月7日、報道機関向け説明会を東京都内で開催し、日本における事業戦略を説明した。同社はここ数年、日本の家電メーカーの不振から日本市場での売り上げを落としていた。今後は、自動車や産業機器分野を中心に日本の顧客へのサポート体制を厚くし、反転攻勢に出る考えである。複数のICやディスクリート部品を組み合わせたソリューション型製品の開発を強化することに加え、製品を迅速に供給するための物流センターを成田に新設した。日本における主力生産拠点である新潟の前工程拠点では、従来手掛けてきた旧・三洋半導体製品に加え、2014年からはON Semiconductor社の汎用製品群の生産も手掛ける。

 ON Semiconductor社は2011年に三洋半導体を買収した。旧・三洋半導体製品の売上高は、2013年7~9月期の実績で1億5000万~1億7000万米ドル。「ここ2年ほどは日本のエレクトロニクス業界の不振から低迷していたが、ここにきて一定水準に回復した」(三洋半導体製品グループを統括するON Semiconductor社Senior Vice PresidentのMamoon Rashid氏)とする。これまで、日本における売り上げの多くを旧・三洋半導体製品が占めていたが、今後はON Semiconductor社がグローバルで展開する製品を日本でも積極的に販売する考えである。日本のエレクトロニクス企業が自動車や産業機器などに注力分野をシフトしていることに対応し、日本ではこれらの分野に向けた製品提供に力を入れていく。

 東京に立ち上げた「デザイン・エンジニアリング・センター」では今後、自社の製品を横断的に組み合わせてソリューション型製品を開発する。アプリケーション・エンジニアリングが主に顧客側のサイトで製品開発をサポートするのに対し、同社のデザイン・エンジニアリング・センターのエンジニア(現在10数名)は「基本的に同センターでソリューション型製品を開発し、必要に応じて顧客と開発対象を検討する」(オン・セミコンダクター 代表取締役社長の雨宮隆久氏)スタイルをとる。また、製品供給の迅速化に向けてDHLと手を組んで成田に新設した物流拠点「日本グローバル物流センター」では、1日当たり400万個の製品を処理できるという。延床面積は3350m2と、同社の従来の国内物流拠点に比べて10倍以上の規模である。

 同社はここ数年、日本において生産拠点の統廃合や人員削減によるコスト削減を進めてきた。2013年10月には旧・三洋半導体の従業員を今後さらに最大910人削減する方針を発表。当面の人員削減は「これで最後になる」(Rashid氏)としている。