経営方針を話すルネサスの作田氏
経営方針を話すルネサスの作田氏
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 ルネサス エレクトロニクスは2013年10月30日、2013年度第2四半期(7~9月期)の連結決算を発表した(決算概要)。売上高は前年同期比2.2%減の2178億円、営業損益は同166億円改善して109億円の黒字となった。営業黒字は3四半期連続である。純損益は前年同期比855億円改善し、88億円の赤字だった。

 半導体売上高は、主力の自動車向けが好調だったことなどから、前年同期比1.2%増の2077億円となった。車載マイコンが「日系メーカー向けを中心に非常に堅調」(代表取締役社長兼COOの鶴丸哲哉氏)だった他、自動車向けのパワー・デバイスやアナログIC、カーナビ用SoCも全般に好調だった。スマホ向けなどの中小型パネル用ドライバICも堅調である。営業損益の改善は、構造改革の効果が大きいことに加えて、円安も追い風となった。

 2013年度第3四半期(10~12月期)は160億円の営業黒字を見込む(前年同期は79億円の赤字)。引き続き構造改革の効果が寄与するという。純損益は同706億円改善して240億円の黒字に転換する見通しだ。営業損益の改善に加え、モバイルSoC事業を米Broadcom社に売却することによる特別利益を計上する。

 ルネサスは2013年9月30日、産業革新機構と事業会社8社から計1500億円の出資を受けた。これに伴って同年9月末の自己資本比率は26.2%となり、同年6月末時点の10.2%から大幅に改善した。

 今回の決算発表では、代表取締役会長兼CEOの作田久男氏が「ルネサスを変革する」と題して経営方針を示した。同氏がルネサスの3大課題として挙げたのは「マーケットイン志向」「内部運営上の課題」「さらに強固な財務体質の構築」。マーケットイン志向を挙げたのは、現在のルネサスが「(最終)顧客から離れつつあるのではないかという懸念がある」(作田氏)ためという。内部運営上の課題については、「前に在籍していた会社(オムロン)に比べて、事業に対する当事者意識が薄いと感じる」(同氏)と話した。強固な財務体質の構築では、無駄をそぎ落とした筋肉質な体制を目指す。

 同社は今後、売上高ではなく「徹底的に利益にこだわる」(作田氏)。そこに向けて、まずは2016年度に2桁%(10%以上)の営業利益率を目指すとした。今後、ASEANなどの重点市場の開拓に向けて、販売・マーケティングを強化する。2013年11月1日付で従来の「営業・マーケティング本部」の名称を「グローバル・セールス・マーケティング本部」に変え、4人の執行役員を配する。