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 毎年1兆個を超えるセンサを使う社会“Trillion Sensors Universe”を10年以内に実現することを目指す会合「TSensors Summit」が、米国の産学の主導で2013年10月23日、米Stanford University(米国カリフォルニア州)で始まった(関連記事1)。

 参加しているのは、米Cisco Systems社、米HP Lab社、米Motorola Mobility社などの大手IT(情報技術)企業、米Fairchild Semiconductor社、米Intel社、米Kionix社、米Rambus Labs社、ドイツRobert Bosch社、伊仏STMicroelectronics社、米Texas Instruments社などの半導体・電子部品関連企業で、合わせて30社以上。Stanford Universityのほか、米California Institute of Technology、米University of California(UC), Berkeley、米UC, San Diego、仏CEA-LETI、ベルギーIMECなど10を超える大学・研究機関も名を連ねる。いずれも会合の趣旨に賛同して、経営、マーケティング、技術などさまざまな視点から大量のセンサ利用に関するプレゼンテーションを披露している。

センサで水道哲学を実践

 この会合は、現在の100倍規模の数量のセンサが消費されるようにすることを目指す。センサの応用範囲を、携帯電話機やスマートフォンなどの民生機器から、ヘルスケア、医療・医薬、バイオ、食糧、農畜産業、交通、住宅、オフィスなど幅広い分野へも拡大しようとする(関連記事2)。そのため、こうした分野におけるセンサの潜在的な需要をすべて満たせるほどの低廉かつ十分な供給がある状態をつくろうとしている。

 例えば、人の健康や社会インフラの保守のためにセンサを使いたくても、コストや仕様が要求を満たさないために、使えないことが現在ならある。このような場合にも誰もが気兼ねなくセンサを利用できる状態の実現を目標とする。蛇口をひねると安全な水が安くふんだんに使えるなら、水を大量に使うプールや銭湯などの事業が成り立つ。TSensors Universeは、いわばセンサで「水道哲学」を実践した社会といえる。センサを利用できるユーザーが限られていたために「センサを使えていれば困らずにすんだ」というユーザーもなくせる。