十六銀行が実施した「太陽光発電事業化検証セミナー」の様子(出所:十六銀行)
十六銀行が実施した「太陽光発電事業化検証セミナー」の様子(出所:十六銀行)
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 地方銀行が太陽光発電事業に対する融資に力を入れ始めている。
 岐阜市に本社のある十六銀行は、2012年10月に「再生可能エネルギーABL」と名付けた融資商品を開発し、取り扱いを始めた。「ABL(アセット・ベースト・レンディング)」とは「動産・債権担保融資」と訳され、企業の事業そのものに着目し、事業に基づくさまざまな資産の価値を見極めて融資する方法。具体的には、企業が持つ不動産以外の動産(在庫や機械設備など)・債権(売掛金など)を担保とする。金融庁は、今年2月に「ABLの積極活用について」との手引きを出し、中小企業への同手法の活用を推進した。
 
 十六銀行は、ABLの手法を再生可能エネルギー発電設備の売電事業に適用した。太陽光パネルや売電料金の債権などが担保になる。不動産担保や第三者保証に過度に依存しないため、中小企業でも再生可能エネルギー発電事業に参入しやすくなる。メガソーラー(大規模太陽光発電所)事業は、本業とは別に新規事業として取り組む企業が多いため、メガソーラー向けのABLは、個別プロジェクトの収益から返済する「プロジェクトファイナンス」と近い仕組みになる。ただ、SPC(特定目的会社)などを設立するプロジェクトファイナンスに比べ、スキームが簡素で中小企業に向いている。

 水戸市に本社を置く常陽銀行も2012年7月に「LALAサンシャイン」という名称の融資商品を出した。10kW以上の太陽光発電システムによる売電事業が対象で、プロジェクトファイナンス型のABLといえる。

 十六銀行の「再生可能エネルギーABL」は、これまでに相談段階も含めて融資件数は約300件で融資額は約200億円に達している。9割が太陽光発電事業という。常陽銀行の「LALAサンシャイン」も300件以上の相談があり、大成ブリキ印刷(茨城県河内町)が取り組む1MWのメガソーラー事業に対して融資した実績がある。