スマートフォンやタブレットはモバイル機器の成長株。今後は中国やインドといった新興国での需要増大が期待される。新興国向け機器に採用されるためには、IC単体ではなくモジュール化して供給することが重要だと、東芝のエンジニアが訴えた。近接無線技術「TransferJet」対応の無線ICを題材に、モジュール化の意義や設計事例が講演で紹介された。

図1●TansferJet無線通信モジュール(赤枠)を紹介する岡野 資睦氏 Tech\-On!が撮影。スクリーンは東芝のスライド。
図1●TansferJet無線通信モジュール(赤枠)を紹介する岡野 資睦氏
Tech-On!が撮影。スクリーンは東芝のスライド。
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図2●スマートフォンの世界市場のシェア 東芝のスライド。
図2●スマートフォンの世界市場のシェア
東芝のスライド。
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図3●スマートフォンの中国市場とインド市場のシェア 東芝のスライド。
図3●スマートフォンの中国市場とインド市場のシェア
東芝のスライド。
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 この講演は、「ZukenInnovation World 2013」(2013年10月10日と11日に横浜で図研が開催)で行われた。登壇したのは東芝の岡野 資睦氏(セミコンダクター&ストレージ社 システム・ソフトウェア推進センター システム実装技術担当 主務)である(図1)。同氏が見せたスライドによれば、2013年には世界市場におけるスマートフォンの出荷台数が前年比1.3倍の9.4億台に拡大し、フィーチャーフォンの出荷台数を初めて抜く。

 台数の伸びと共に同氏が指摘したのが、中国企業の台頭である。2013年の世界スマホ市場では韓国Samsung Electronicsが首位で32.47%のシェアを持つものの(台数ベース)、中国企業上位6社合計のシェアは約22%に達する(図2)。これは、世界市場2位の米Apple社のシェア13.63%の2倍に迫る数である。

 スマホで最大規模の中国市場を見てみると、さらに中国企業の勢力が強い(図3)。1位はSamsungで変わらないものの、シェアは17.7%に過ぎない。一方、中国企業上位5社の合計は47%を上回る。現地企業に勢いがあるのは、スマホで成長率最大のインド市場でも同じである。ここでも1位はSamsungだが、シェアは26%どまり。インド企業上位2社の合計はそれを上回る35%である。