国内EDA(electronic design automation)ベンダー大手の図研は、世界市場への進出のビジョンを2013年10月10日と11日に横浜で開催したプライベート・イベント「ZukenInnovation World 2013」で明らかにした。同社の仮屋 和浩氏(EDA事業部常務取締役 事業部長)が「図研のビジョンとロードマップ」という講演で語った。

図1●講演する仮屋 和浩氏 Tech\-On!が撮影。スクリーンは図研のスライドで、Zuken SOZO Centerを紹介している。
図1●講演する仮屋 和浩氏
Tech-On!が撮影。スクリーンは図研のスライド。
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図2●ユーザー講演するSiemens 社のMichael Flügel氏(Infrastructure & City Sector, Mobility and Logistics Division, Project Manager) Tech\-On!が撮影。スクリーンは同社のスライド。なお、「Atom」はCPUボードに載っている米Intel社のMPU。
図2●ユーザー講演するSiemens 社のMichael Flügel氏(Infrastructure & City Sector, Mobility and Logistics Division, Project Manager)
Tech-On!が撮影。スクリーンは同社のスライド。
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 仮屋氏(図1)が見せた市場調査会社のデータによれば、ボード(プリント基板)設計用EDAの国内市場で同社の市場シェアは52~54%で第1位。一方、世界市場ではシェア20%で第2位。3位の米Cadence Design Systems社の16%よりシェアは大きいが、1位の米Mentor Graphics社の40%の半分にとどまっている。国内市場の伸びはそれほど期待できないため、海外での事業規模拡大は同社の成長にとって欠かせない。

 図研は1994年に同業の英Racal-Redac社を買収しており、欧州では一定の規模で事業を展開してきた。最近は「国内の民生機器の複雑なボード向けに開発した機能が、欧州の産業機器などでも受け入れられ、ユーザーが増えている」(同氏)という。実際、今回のプライベート・イベントでも、独Siemens社が鉄道制御システム機器のボードに、独Continental社のECUボードに、図研のEDAを適用した事例をそれぞれの企業のエンジニアが発表している(図2)。

 仮屋氏によれば、2003年~2010年間で欧州市場における図研の売上高は47%伸びている。同じ期間に日本市場では16%増えた。ところが、アジア市場では8%しか伸びていない。昨年のプライベート・イベントでは台湾DMS大手のPegatron社(和碩聯合科技股份有限公司)がユーザー講演したものの(Tech-On!関連記事1)、そのほかのアジアのEMS/DMS企業の大手のビジネスでは苦戦している様子が窺える。