Stanford大学が開発した、CNTプロセサの4インチ・ウエハー。写真:Stanford University
Stanford大学が開発した、CNTプロセサの4インチ・ウエハー。写真:Stanford University
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論文の第一著者であるMax Shulaker氏。Stanford大学の博士課程の学生である。左手にCNTプロセサの4インチ・ウエハーを持っている。写真:Norbert von der Groeben
論文の第一著者であるMax Shulaker氏。Stanford大学の博士課程の学生である。左手にCNTプロセサの4インチ・ウエハーを持っている。写真:Norbert von der Groeben
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 米Stanford Universityは、カーボン・ナノチューブ(CNT)トランジスタを集積したプロセサを開発したと発表した(発表資料)。米MIPS Technologies社のMIPSアーキテクチャの命令セットのうち基本的な20の命令を実行可能で、マルチタスク可能な独自の簡易OSが動作する。演算内容のプログラムが可能で、外部端末から入力したデータを利用する簡単な演算ができるという。詳細を記した論文は学術誌「Nature」に掲載された。

 開発したプロセサは、CNTトランジスタ178個を1チップ上に集積したもの。CNTトランジスタ1個には、CNTを10~200本用いている。178個のCNTトランジスタのうち、96個を2ビットのALU(算術論理装置)に用いている。動作周波数は1kHzと高くないが、「CNT関連の限界ではなく、大学の製造装置や測定用装置が古いことなどによる制限」(論文)という。

 プロセサは、4インチのSi/SiO2ウエハー上に作製する。CNTは水晶基板上で成長させてから、テープを使ってウエハー上に転写する。今回用いたCNTは、金属型CNTを99.99%以上除去した半導体型CNTを用いており、電流のオン/オフ比は十分に高いという。