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ノイズ対策での現場と理論の距離はまだ縮まらず、実装学会の2013年度サマーセミナーを聴講

小島 郁太郎=Tech-On!編集
2013/09/24 05:00
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 エレクトロニクス実装学会(JIEP) 電磁特性技術委員会は,毎年恒例のサマーセミナーを今年(2013年)は8月28日に開催した。会場は昨年の芝浦工業大学の豊洲キャンパスから(Tech-On!関連記事1)、国士舘大学の世田谷キャンパスに移った。本題とはズレるが、最近、多くの大学のキャンパスには瀟洒なビルが建っている。今回の会場もそうしたビルの中にある教室で、外の暑さとは無縁とも言える快適な雰囲気でセミナーはスタートした。

図1●サマーセミナー会場
左端は、電磁特性技術委員会の委員長を務める岡尚人氏(三菱電機)。Tech-On!が撮影。

 今年のテーマは「学ぶ人も教える人も基礎からわかるEMC~ここに気付くとEMCは面白い~」である。このテーマから察されるように、ここ数年に比べて、ぐっと基礎に重点を置いた内容になった。最初に全体の主旨を説明した電磁特性技術委員会の委員長を務める岡尚人氏(三菱電機)によれば、最近は、さまざまなエンジニアがEMC(Electromagnetic Compatibility)に関わるようになってきており、基礎/基本から学びたいという要望が増えている。それに応えた内容にしたとのことだった(図1)。

 実際、自動車の電子化に代表されるように、かつては電気・電子とは無縁だった機械・機構の世界でもEMCは避けては通れない課題になっている。電気・電子世界でも事情は似ているところがある。デジタル化や高速化が進み、かつてはEMCとは無縁だった機器でも、EMC考慮なしの設計ではフィールドでのトラブルから逃れられなくなってきた。

 今回のセミナーでは、全部で6件の講演と1件のパネル討論があった。講演のうち3件が大学教員による電磁気学関連の講演で、1件が無償ソフトウエアを使ったEMC関連シミュレーションの紹介だった。ここまでは、今年のテーマの「基礎」といった内容である。5件目以降は、現場発の内容。筆者が数年前にサマーセミナーの聴講をして(Tech-On!関連記事2)、その名称とは裏腹に現場の最新情報が聞くことができると驚いた内容に近い。以下、各内容のポイントを、筆者の独断と偏見で恐縮だが、紹介する。

電磁気学は基本的に分かりにくい

図2●EMCは営業的なアピールが難しい
左端は、名工大の池田哲夫氏。Tech-On!が撮影。スクリーンは講演者のスライド。
[画像のクリックで拡大表示]

 1件目の講演には、名古屋工業大学の名誉教授の池田哲夫氏が登壇した。タイトルは「機械系のEMC入門」である。タイトルでは電子・電気系以外の人に向けたことになっているが、同氏が言うように、電磁気学の講義や試験でつまづいた電気・電子系も意識されている。残念ながら、筆者もそのつまづいた口だ。故意に(?)落とした科目を除くと、取れた科目では電磁気学の成績は最低だった。

 そんな筆者が勇気づけられた話があった。「電磁気学は基本的に分かりにくい。現象を表す式を並べただけで、本質は不明だから」(池田氏)。これを聞いたときには約30年前の傷が癒されたような気になったが、少し経つと、「物理学って基本的にみんなそうだ」ということに気が付いた。

 電磁気全般の話はともかく、EMCは基本的に分かりにくい。その理由の1つが「回路図にはない寄生成分が、ノイズの挙動に寄与するからだ」(同氏)。また技術的な課題以外にも、やっかいなことがある(図2)。EMC的に完璧だとしても、製品の付加価値としてアピールしにくいケースが多い。一方で、ひとたびトラブルが発生すると、製品リコールなんてことになりかねない。

 ただし上述したように、EMCとは無縁でいられる機器やエンジニアは減っている。EMCへの対応は重要だ。池田氏はEMCの原因から対策まで例題を交えて説明したが、印象に残ったのは「原因が分かれば、EMCの問題はほぼ解決」という同氏の指摘だった。確かに元を絶つのは、EMCに限らずトラブル対策の基本である。

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