図1 左からSCEの島田氏、松本氏、渋谷氏
図1 左からSCEの島田氏、松本氏、渋谷氏
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図2 PS Vita TVのUI。写真は東京ゲームショウ 2013での基調講演での場面
図2 PS Vita TVのUI。写真は東京ゲームショウ 2013での基調講演での場面
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ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は2013年9月に開催されたゲーム業界の世界最大級の展示会「東京ゲームショウ 2013」で、テレビに外付けすることで映像サービスやゲームを楽しめるようになる小型の据置型機器「PlayStation(PS) Vita TV」を初めて一般公開した。PS Vita TVを中心に、SCEに話を聞いた。対応者は同社 SVP 兼 第2事業部 事業部長の松本吉生氏、同事業部ソフト開発部 部長の島田宗毅氏、同社 戦略・商品企画部 部長 兼 ハードウエア企画課 課長の渋谷清人氏である(図1)。(聞き手:根津禎=日経エレクトロニクス)

――PS Vita TVは、小さくて白い。その理由は?
SCE:“ハコ”としての存在感を主張させたくなかったからだ。小さく、白くすることで、テレビの周辺にさりげなく設置できるようにすることを目指した。現在、テレビの周囲には実にさまざまな電子機器が置かれている。そのような状況下で、PS Vita TVを置いてもらうには、なるべく本体を小さく、目立たなくする方がよい。家の中、どこにでもプレイステーションとの接点を設けるためにも、PS Vita TVは小さくする必要があった。

――PS Vita TVの大きさは元から現在の大きさ(約105mm×65mm×13.6mm)だったのか?
SCE:当初の試作品はもっと大きかった。かつてtorneに付属していた外付けテレビ・チューナーほどの大きさだった。それでも小さいが、そこから更に小型化してもらい、現在の大きさにまで小さくなった。

――PS Vita TVの商品企画が出てきたのはいつごろか?
SCE:2011年夏、当時まだ開発中だった携帯型ゲーム機PS Vitaのハードウエアなどを使って他の用途に使えないか、という検討が始まった。その際に出てきたいくつかのアイデアの中に、PS Vita TVの原型になるものがあった。PS Vita TVのような、「エントリー(入門)的なプラットフォーム」はこれまでSCEになかったため、開発にゴーサインが出た。

――テレビとつながるこれまでSCEの据置型ゲーム機のユーザー・インタフェース(UI)は「XMB(クロスメディアバー)」だった。しかし、PS Vita TVはPS Vitaと同じUIで、クロスメディアバーとは異なる(図2)。ユーザーが操作に迷ったりする恐れはないか。
SCE:その可能性は低いと考えている。確かにPS VitaのUIは、タッチ・パネルでの操作を前提にしている。だが、同UIは、テレビ画面上で、コントローラを使ってもスムーズに操作できる。

――PS Vita TVは日本以外でも販売するのか?
SCE:もちろん、海外でも販売する。まず、2014年1月中旬から日本以外のアジア地域でPS Vita TVを発売する。将来的には、欧米でも販売する可能性がある。欧米の販売は現在検討中だ。

――今回発表されたPS Vitaの新機種は、充電コネクタを従来のカスタム品から汎用のmicro仕様のUSBに変更したり、ディスプレイを従来の有機ELパネルから液晶パネルに変更したりしている。これはコスト削減のためか?
SCE:コスト削減の効果は若干あるが、それが変更の主な理由ではない。例えばUSBを採用したのは、ユーザーの使い勝手を重視した結果だ。また、液晶パネルを採用したのは、筐体を薄くしやすいからである。軽量化にも向く。有機ELパネルの場合、強度を高めて割れにくくするための補強部材が必要になって、重くなる。液晶パネルではこの補強部材が不要になり、その分軽くできる。そもそも、液晶パネルは安定的に生産されており、入手しやすい。

――PS Vitaの新機種は、無線LANモデルだけだ。3G通信モデルも併売するのか?
SCE:PS Vitaの上位機種として3G通信モデルは引き続き販売していく。3G通信に対応する点の他、GPSや有機ELパネルなどを搭載している点を訴求する。