経営方針説明会に登壇した田中氏
経営方針説明会に登壇した田中氏
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝 代表執行役社長の田中久雄氏は、2013年8月7日に東京都内で開催した「2013年度 経営方針説明会」において、同社が開発中の3次元NANDフラッシュ・メモリ「BiCS(Bit-Cost Scalable)」の量産計画に言及した。説明会後に記者団の囲み取材に応じ、BiCSの量産開始時期は「明確には決めていないが、今年度(2013年度)の終わりか来年度(2014年度)の初めを考えている」と述べた。

 BiCSの量産品では「競合他社の追随を許さない、断トツに小さいチップ・サイズ(チップ面積)を実現する」(田中氏)という。そのため、前日(2013年8月6日)に3次元NANDの量産開始を発表した韓国Samsung Electronics社に対して「(量産開始で)半年以上遅れているという(表面的な)捉え方をしないでほしい」と東芝の競争優位性を強調した(関連記事1)。

 説明会の質疑応答の場面でも、田中氏はNANDフラッシュ・メモリの今後の技術開発競争における東芝のポジションについて「自信を持っている」と明言。「微細化で常に先行してきただけでなく、(その他の)技術的背景を含めて自信がある」と語った。

 東芝は今後、「BiCSに先んじて1Ynm世代や1Znm世代への微細化を進める」(田中氏)計画。現在量産している19nm第2世代の「次の世代への微細化にもメドが付きつつあり、この時点で(Samsung社が発表した3次元NANDに対して)チップ・サイズで追いつくか、先行できる」(同氏)。すなわち、Samsung社の3次元NANDには「我々の1Ynm~1Znm世代品で十分に戦える」との目算だ。

 NANDフラッシュ・メモリの微細化継続に並々ならぬ自信を持つ東芝だが、「1Znm世代よりも先では、そろそろ物理的限界を迎える」(田中氏)ことを認める。そのため、2015年ごろには3次元NANDへ本格的にシフトすることを想定しているという。