決算を発表する高橋氏
決算を発表する高橋氏
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 シャープは2013年8月1日、同年度第1四半期(2013年4~6月期)の連結決算を発表した(決算資料のページ)。液晶事業の改善などにより、大幅な増収増益となった。売上高は前年同期比32.6%増の6079億円、営業利益は同971億円改善して30億円の黒字となった。営業黒字は3四半期連続である。同日の決算説明会に登壇した同社 代表取締役社長の高橋興三氏は、同社の業績が「回復基調に入ったと言っていい」と述べた。純損益は179億円の赤字だが、前年同期比では1204億円改善した。

 収支改善に最も大きく寄与したのは、液晶事業の改善である。大型液晶パネルの外販が好調に推移した他、スマートフォンやタブレット端末向けの中小型液晶パネルの需要が増加した。(韓国Samsung Electronics社との)戦略的アライアンスの効果から、亀山第2工場の稼働率は計画通りに推移しているという。

 太陽電池や電子デバイスも好調だった。太陽電池事業の売上高は前年同期比で倍増し、営業損益は130億円改善して68億円の黒字となった。国内市場において、住宅やメガソーラー向けの需要が伸びているという。電子デバイス事業は、モバイル機器向けのカメラ・モジュールの販売が好調だった。同事業の売上高は前年同期比29%増加し、営業損益は51億円改善して1億円の黒字となった。

 液晶テレビや携帯電話機を中心とするデジタル情報家電事業も、昨年の大きな落ち込みから回復した。売上高は前年同期比18.5%増、営業損益は189億円改善して13億円の赤字となった。ただし、携帯電話機については通期販売台数の計画を130万台下方修正し、550万台とした。「国内外のメーカーによる競争が激しくなっている」(高橋氏)ことを勘案したものである。携帯電話機事業の今後については、「スマホが家電との連携の手段となるように、通信は我々のさまざまな事業の核となる技術。携帯電話機を単体の商品としては見ておらず、もっと大きな捉え方をすれば非常に将来性がある事業だ」(同氏)と述べた。

 業績は回復基調にあるものの、シャープの経営状況は依然として非常に厳しい。2013年度6月末時点の自己資本比率は6.0%である。財務基盤の強化に向けて、「さまざまな資本増強策を検討しているところ」(高橋氏)だとしている。