図1 パナソニックの2014年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算結果
図1 パナソニックの2014年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算結果
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図2 説明するパナソニック 常務取締役の河井英明氏
図2 説明するパナソニック 常務取締役の河井英明氏
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 パナソニックは、2014年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表した。売上高は1兆8245億円(前年同期比1%増)で、本業の儲けを示す営業利益は642億円(同66%増)だった(図1)。当期純利益は1078億円(同742%増)と、四半期ベースの純利益としては過去最高を記録した。これは、「年金制度変更に伴う一時益として798億円を計上したことや、固定費削減が着実に進んでいることなど」(同社 常務取締役の河井英明氏)が理由である(図2)。

 最も業績に貢献したのが、自動車や電子部品関連の「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」である。車載製品/部品の販売増や円安などによって、6643億円(同5%増)の売上高を記録し、287億円(同127%増)の営業利益を確保した。例えば、米Tesla Motors社などに供給している電気自動車(EV)用Liイオン2次電池が好調だったという。河井氏によれば、「フル生産でやっているが生産能力は足りていない。大きな投資はしないが、増強する必要はある。活況だ」と記者会見の壇上で語った。

 住宅関連の「エコソリューションズ」も好調だった。営業利益は161億円で、前年同期に比べて344%も増加した。太陽光発電システムにおいて、固定価格買取制度による駆け込み需要があったことが大きく影響した。

カメラの販売台数は6割減


 厳しい状況なのは、テレビやデジタル・カメラ、携帯電話機などを扱う「AVCネットワークス」である。「BtoC商品が、需要低迷と不採算事業の絞込みで大きく販売減となり、減収となった」(河井氏)。売上高は3605億円(同10%減)で、営業損益は167億円の赤字。4カンパニーの中で唯一、売上高を前年比から落とした。課題であるテレビ・液晶パネルの赤字は115億円と、前年同期の192億円から縮小した。

 特に苦戦しているのは、スマートフォンである。携帯電話機事業を手掛ける子会社のパナソニックモバイルコミュニケーションズは、営業赤字54億円(前年同期は37億円の赤字)と赤字幅を拡大させた。河井氏によれば「収益力の回復や経営資源の活用など検討している」という。事業をどのように継続するかなど「近々に方向性を出して行かなくてはならない」との認識を示した。さらに、「続けていくには独自の強みを出していかなければいけない。BtoB向け製品の展開や、パソコンでも取り組んでいる頑強な設計のモデルの投入など、現在戦略を練っているところ」と明かした。

 デジタル・カメラも状況は厳しい。販売台数は「前年度に比べて4割程度」(同氏)と大幅に落とした。「特にコンパクト型デジタル・カメラは厳しく、商品構成を変えていかなければいけない。ミラーレス・カメラも競争が激化してきているので、一眼レフ・カメラを含めた高級機をどう展開できるのかを検討している」(同氏)という。

 なおパナソニックは、2014年3月期通期の連結業績予測を、売上高7兆2000億円、営業利益2500億円と前回発表時の数字を据え置いた。