売上高と営業利益の四半期ごとの推移
売上高と営業利益の四半期ごとの推移
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 富士通の2013年度第1四半期(4月~6月)決算は赤字となった(決算短信:PDF)。売上高は前年同期比4.4%増の9992億3300万円、営業損失は228億3600万円、純損失は219億8300万円だった。2013年度通期の業績予想に修正はなく、売上高が前年度比3.8%増の4兆5500億円、営業利益が同46.9%増の1400億円としている。

 第1四半期の業績を事業別にみると、主力の「テクノロジーソリューション」事業は売上高が前年同期比8%増の6775億円、営業損益は前年同期から34億円改善して25億円となった。国内の売り上げはほぼ前年同期並みだったが、海外は為替影響もあり、21.1%の増収となった。為替影響を除くと3%の増収。北米向け光伝送システムが、キャリアの投資回復により売り上げを伸ばした。

 パソコンや携帯電話機などを扱う「ユビキタスソリューション」事業は、業績が低迷している。売上高は前年同期比8%減の2159億円、営業損失は前年同期から151億円悪化して171億円となった。国内ではパソコンや携帯電話機の販売が落ち込んだことにより、16.9%の減収になった。フィーチャーフォンの市場が縮小していることに加えて、スマートフォンでは「GALAXY S4」と「Xperia A」を「ツートップ」として売り出すNTTドコモの販売方針にマイナスの影響を受け、携帯電話機の販売台数は前年同期比30%減となった。

 決算説明会で同社は携帯電話機事業の今後について「逃げるつもりはない。今後、企業向け端末としての重要性が増すはずで、ビジネスの裾野は大きく広がっている。月産30万台レベルを確保できれば利益は出せる」(取締役執行役員専務CFOの加藤和彦氏)と説明した。

半導体・電子部品で黒字

 事業再編や人員削減を進めている「デバイスソリューション」事業は、売上高が前年同期比11.5%増の1453億円となり、営業損益も前年同期比から112億円改善して76億円の黒字を計上した。国内では6.4%の減収だったが、海外で33.6%の増収(為替影響を除けば10%の増収)となった。アジアを中心にスマートフォン向けのSoCが好調という。

 損益に関しては、前年度の工場譲渡に伴う固定費削減などが改善に寄与した。300mmウエハーでの製造ラインはスマートフォン向けの需要増により稼働率は高水準で推移したが、200mm/150mmラインは引き続き低水準だった。今後、これら基盤系の製造ラインは会津若松地区への集約を進めていく方針だ(Tech-On!関連記事)。