アドバンテストの松野氏
アドバンテストの松野氏
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 アドバンテストは2013年7月25日、2013年度第1四半期(4~6月期)の連結決算を発表した(発表資料)。売上高は前年同期比9.8%減の301億円、営業損益は同41億円悪化の33億円の赤字だった。不振の要因は「モバイル機器向け設備投資の端境期に当たった」(アドバンテスト 取締役 兼 常務執行役員の中村弘志氏)こととする。ただし足元では「モバイル機器向けのDRAMおよびロジックLSI向けテスターの受注が堅調に推移している」(同氏)とし、2013年度通期の業績予想は据え置いた。通期の売上高は前年度比20.4%増の1600億円、営業利益は同129億円増の130億円を見込んでいる。

 25日に東京都内で開催した決算説明会に登壇した同社 代表取締役 兼 執行役員社長の松野晴夫氏は、主力のメモリ・テスター事業について、「今後も底堅い需要が見込める」と話した。足元ではモバイルDRAMの高速化対応に向けた需要が中心だが、今後は前工程投資の再開にも期待できるとする。NANDフラッシュ・メモリ向けについては、2013年7月に発表した新製品「T5831」でのシェア獲得に努めるとした他、SSD(solid state drive)テスター市場に参入することを発表した(関連記事)。

 非メモリ・テスター事業については、「ローエンド・スマートフォンの存在感が増す一方で、ハイエンド・クラスの成長率は鈍っている」(松野氏)ことが懸念材料という。ただし、2013年度下期以降には、モバイル機器向けのロジックLSIやイメージ・センサ向けの需要拡大が見込めるとした。ローエンド・スマートフォン向けのアプリケーション・プロセサを手掛ける中国のファブレス半導体メーカー向けでは「我々がかなりのシェアを獲得している」(取締役 兼 常務執行役員の明世範氏)と自信を示す。パソコン用マイクロプロセサ向けの需要については、明るい兆しが見えないという。

 目下力を入れている各種の新規事業に関しては、2013年6月末に米W2BI.COM社を買収したことを受けて、ワイヤレス機器向けテスト市場に参入することを表明した。同社はモバイル機器向けのシステムレベル・テスト用ソフトウエア市場が、2012年の7億米ドルから、2017年には14億米ドルと倍増すると見込んでいる。この他、クラウドを用いたテスト(クラウド・テスティング)事業を北米でも開始し、2013年度中に台湾や欧州にも展開することや、電子ビーム(EB)露光装置の新製品「F7000」が初の受注を獲得したことなどを紹介した。