今後1~2年で中国市場での本当の勝敗が決まる

 今回出展した日本メーカー4社は、中国での業績が好調な企業の一例だ。今後の事業拡大に余念がない。この結果から外国企業が中国国内で成功するための要件を考えると、やはりLED照明用の「チップ」「パッケージ」「デザイン」「システム」のいずれかで中国企業の要求に応えているメーカーに強みがあるということだろう。もちろん放熱や価格低減につながる材料分野の強みがあることはいうまでもない。

左は、昨年より小間数を増やしたシチズン電子のブース。右は、今年初出展したウシオライティングのブース。(写真:グラナージュ)
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 シチズン電子のスタッフは、ここにきて中国企業の意識が変化していると指摘している。「信頼性の重要性を再認識し始めた」のだという。このため同社は、高効率で信頼性の高い点のアピールに注力する姿勢をみせている。

 日亜化学は「今年は円安効果で追い風を受けるが、今後1~2年で中国市場での本当の勝敗が決まるだろう」との見方を示した。今回の展示会では、台湾のTSMCの半導体照明部門が子会社として独立したTSMC Solid State Lighting社が初めて出展するなど、まだまだ台頭してくる資金力を持つグローバル企業に脅威を感じていた。そのため、日亜化学は今年も積極的な投資で勝負を懸けている。

台湾植物工場展は、農業というLED照明の新市場で盛り上がった。写真は、植物工場を運営する台湾のNice Green(庭茂農業生技)社のブースで提供していたサラダ。価格は、99台湾ドル(約330円)。ちなみに、台湾での350ml缶コーラの相場は18台湾ドル(約60円)で、一般のスーパーで販売している野菜の価格は30~45台湾ドル(約100~150円)といったところである。(写真:グラナージュ)
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 中国市場の動きで、もう一つ興味深かったのは、LED照明の新しい応用分野が拡大する気配があることだ。大きな市場になりそうと期待を集める分野は農業である。6月18~20日に台湾で開催された「第9回 台湾国際照明展(2013 LED Lighting Taiwan)」で、その一端が垣間見えた。

 同展示会では、「第2回 台湾植物工場展(2013 Plant Factory Taiwan)」が併催された。昨年の前回は2社しか出展していなかったが、今年は一気に37社増えて39社になり、会場は盛り上がっていた。

 日本や欧州で先行して市場開拓が見込まれている植物工場を中心にした農業用LED照明分野では、ここにきて台湾企業が力を入れ始めている。特に期待が大きいのは、中国への輸出である。

 もちろん、安全な野菜を求める消費者の声は需要が高まる大きな要因だ。実は、その他にも、背景がある。農業分野が台湾や中国で盛り上がるのは、農業とLED照明ビジネスが抱える大きな二つの課題が合致しているためだ。具体的には、農業での気候的な課題、LED照明業界の産業的な課題である。