日本を代表する2社が出展取りやめ

 そうした中、実は広州国際照明展では、照明機器メーカーとしての出展で東芝やパナソニックの名前が消えた。両社は2年前に、LED照明で中国市場を大々的に攻める戦略をぶち上げている。パナソニックは材料部門が出展しており、そちらでは多くの参加者を集めていただけに、両社の照明機器メーカーとしてのアピールがないことは不思議に映った。

 なぜ、日本を代表する照明大手2社が今回の出展を取りやめたのか。

 両社の関係者によれば、出展取りやめは「さまざまな諸事情を踏まえた上での決定」という。「出展による費用対効果が見えないこと」などの理由もあるようだ。展示会の主催者側からは「日中関係の悪化」という説明があり、しっくりする回答は得られなかった。

 一方で、Philips社やドイツOSRAM社、米Cree社といった大手メーカーは会場内の中心に大型ブースを構えるなど、取り組みは対照的だった。

 日本メーカーでも、日亜化学や、シチズン電子、大光電機などがブースを構え、昨年に続き多くの参加者を集めていた。LED大手の日亜化学のブースが注目を集めることは例年と変わらず、人の往来や説明を求める訪問者が絶えなかった。

日亜化学は今年もメインフロアーにブースを構え、多くの人を集めた(左)。同社は、LEDを利用した高精細LEDディスプレイも出展した(右)。(写真:グラナージュ)
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 シチズン電子は出展小間数を増やし、大型出展ブースが並ぶホールに場所を移すなど、中国での販売が順調な様子を見せた。大光電機は昨年と同様に中国企業と共同で出展した。

 初出展で関心を呼んだ日本メーカーもある。ウシオ電機である。現地法人のウシオ上海を通じて、照明機器や制御システムなどを出展した。

 ウシオ電機は2013年夏に、ウシオ上海の子会社として中国に「United Designers of Architectural Lighting(UDA)」という新会社を立ち上げ、中国市場で積極展開する計画だ。UDAは、グラフィック・デザインや景観デザインとLED照明を融合することで、「照明」と「建築」を結び付ける事業を中国で手掛ける。

 照明デザイナーの内原智史氏を顧問として迎えると同時に、その他にも多くのデザイナーと協力しながら事業に取り組む。その事業の一環で、中小のデザイン事務所による中国進出を支援するビジネスを掲げている。