中国での有機ELを用いた次世代照明や、LED照明の応用が、新しいフェーズに入ろうとしている。日本や欧州が先駆ける分野に中国が迫る。

 今後、急成長が見込まれる中国市場では、現地の有力メーカーが次世代照明に本腰を入れ始めている。農業を中心とする新しい応用分野への参入も活発だ。2013年6月に中国と台湾で相次いで開催された照明機器関連の展示会では、その様子が如実に表れた。中国や台湾、欧米の企業による活発なアピールの一方で、日本の大手照明メーカーは勢いをなくしている。

 中国広東省の広州市で6月9~12日に開催された「第18回 広州国際照明展(18th Guangzhou International Lighting Exhibition)」は、前年に比べ約6500人多い11万6983人が参加した。従来企業による出展面積の拡大と展示会の質を高める理由で出展社数は減ったものの、海外からの2万人を超える参加者を含めて会場はにぎわった。

中国メーカーが有機EL照明に本腰

 この展示会の話題の一つは、中国メーカーによる有機EL照明分野への参入だ。日本や欧州のメーカーが先行してきた有機EL照明だが、中国メーカーも着実に開発を進めて迫ってくる姿が見えてきた。

 中国の大手液晶パネル・メーカーである京東方光科技(BOE)は、2013年中にも有機EL照明モジュールを販売することを明らかにした。同社は、中国国内はもとより、日本企業にも多くの液晶パネルを供給している。2014年には、中小型の有機ELパネルの量産を第5.5世代ラインを活用して手掛ける計画を持つ。

左の写真は、BOE社のブース。有機EL照明コーナーが大々的に設置してあった。右の写真で中央付近にあるのは、同社のフルカラー有機ELパネル。左下は色温度4900Kの有機ELパネル。(写真:グラナージュ)
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 同社は、昨年の2012年から照明用の有機ELパネルの製造に乗り出した。昨年の同展示会でも有機EL照明モジュールの展示はあったものの、仕様や価格などの詳細は公表しないプロトタイプの位置付けだった。

 今回同社は、製品としてモジュール寸法(125mm×125mm、123mm×123mm)や発光効率(20lm/W)に加え、価格(500元=約8250円)も具体的に明らかにした。有機EL照明分野への意気込みの強さが表れていた。

 米Eastman Kodak社で有機EL材料の研究を手掛けていた二人の研究者が2010年11月に立ち上げた南京第一有機光電(FOL)も、2013年7月に有機EL照明の販売を始める。寸法が100mm×100mmで発光効率40lm/Wの有機EL照明モジュールなどを出展した(価格は、400元=約6600円)。