生活支援システムに

宮田喜一郎
コガソフトウェアの「孝行デマンドバス」の予約画面を表示させた様子

 さらに、もう一つの特徴が、単なる健康管理システムではなく、言わば「生活支援システム」的な機能を持たせていることだ。例えば、コガソフトウェアの「孝行デマンドバス」のシステムと連動させて、デマンドバスの配車状況の確認や予約などをできるようにしている。さらに、凸版印刷の電子チラシ・サービス「Shufoo!(シュフー)」とも連動し、健康みはり上での買い物などを可能にした。「利用者が、必ず毎朝チェックするようなシステムにする」(奈良女子大学の梅田氏)。

 つまり、健康を軸に、天候や外出、買い物などの生活を連動させ、地域密着型のシステムとしての形態を採る。このため、健康みはりについては、このモデル・ルーム以外では、自治体単位での実証が進められる予定だという。

 なお、健康みはりは、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどに対応するASPサービス。モデル・ルームにおいては、リビングのメイン・モニター(テレビ)にこのアプリケーションを表示させるようにしていた。

24GHzの無線センサ

宮田喜一郎
寝室の天井の壁の内部に呼吸センサが埋め込んである

 さらに、モデル・ルームでは、寝室に呼吸センサを設置。同センサで得た情報をリビングのモニターに表示させた健康みはり上で確認できるようにしていた。これにより、例えば同居する高齢者の睡眠状態などの確認をリビングでできるようになるという。遠隔地に住む家族が、タブレット端末などで健康みはりにアクセスすれば、同様に呼吸センサの情報を確認することもできる。

 設置していた呼吸センサは、24GHzの電波を利用する非接触型。寝室の天井に埋め込んだ電波の送受信機で、入射波と反射波の位相差から人の呼吸状態や、動きなどを検知する仕組みである。送受信機は壁の中に埋め込んであり、外からは目視できないため、「センサが存在することが気にならない」(奈良女子大学の梅田氏)。さらに現在、一般の規格のLED電球に、この送受信機(呼吸センサ)を内蔵する開発も進めているという。

宮田喜一郎
呼吸センサで得た情報をリビングの画面上に表示させている様子

 呼吸センサで得たデータは無線LANで健康みはりに送信する。モデル・ルームでは、この呼吸センサのみを配置していたが、その他にも各種のセンサと連動させることができる。奈良女子大学としては、これら各種センサの部分はあえて自ら開発するのではなく、さまざまな企業や研究機関で開発が進むセンサと連動させることを想定する。むしろ、前述のように、健康みはり自体のアプリケーション側の価値を高めていくことで、「個々の生体センサの側が、『これとつなぎたい』と思うオープン・プラットフォームにする」(奈良女子大学の梅田氏)考えだ。