東レは、TSV(Si貫通ビア)を用いた3次元LSI技術に関する米SEMATECHの開発プログラムに参加する(リリース)。参加期間は2013年7月~2014年6月の1年間を予定しているが、延長することも検討するという。

 東レは、滋賀事業場(滋賀県大津市)内の自社研究施設「PSラボ」で3次元LSI向けを含む各種実装材料の開発を進めている(関連記事)。今回はその取り組みを一歩進め、SEMATECHの「3Dインターコネクト・プログラム」への参加を決めた。

 SEMATECHのプログラムには、米Intel社や米IBM社、台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)、韓国Samsung Electronics社などの主要半導体メーカーに加え、東京エレクトロンなどの装置メーカーも参加している。東レは同プログラムに参加することで、半導体メーカーや装置メーカーの要求に合った実用性の高い材料を早期に開発したい考えである。

 今回のプログラムで開発する材料は、(1)耐熱性仮接着材料、(2)低ストレス感光性再配線材料の二つ。いずれもTSVの低コスト化を目指した材料技術である。プログラムが終了する2014年6月までの開発完了を目指しており、2015年ころの実用化を目指す。

 (1)の耐熱性仮接着材料は、TSV形成後のデバイス・ウエハーを薄化する際に、デバイス・ウエハーをサポート・ウエハーに仮接着するための材料である。薄化したデバイス・ウエハーは、サポート・ウエハーに貼り付けた状態でスパッタやメッキなどの処理を行うため、仮接着剤には250℃以上の耐熱性が必要となる。

(東レの資料)
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 これまでは仮接着剤の耐熱性を高めると、剥離する際に高温の熱処理が必要となり、剥離装置のスループットが著しく低下してしまうという課題があった。今回のプログラムでは250℃以上の耐熱性を持ちながら、室温で剥離できる仮接着剤の開発を目指す。これによって、剥離処理のスループットを従来の5枚/時(300mmウエハー換算)から60~100枚/時に高められる可能性があるという。