オンキャリッジ機構を採用

 インク・カートリッジやプリント・ヘッドといった印刷部では、「オンキャリッジ」と呼ばれる機構を採用した上、インク・カートリッジやプリント・ヘッドを薄くして、小型化につなげている。

 前機種では、インク・カートリッジを切り離して並べて配置し、それぞれをチューブでつなぐ「オフキャリッジ機構」を採用していた。しかし、同機構は薄型化には向くが、奥行きが長くなってしまう。そこで、インク・カートリッジをプリント・ヘッドの上に搭載するオンキャリッジ構造を採用し、奥行きを短くした(図4、5)。

図4 キャリッジの比較(図はセイコーエプソン)
図4 キャリッジの比較(図はセイコーエプソン)
[画像のクリックで拡大表示]
図5 内部構造の比較。左は前機種、右がEP\-805A
図5 内部構造の比較。左は前機種、右がEP-805A
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、オンキャリッジ機構は厚くなりやすい。そこで、インク・カートリッジの厚さを28mmに、プリント・ヘッドの厚さを17.8mmにまで薄くした(図6、7)。オンキャリッジ機構を採用したセイコーエプソンの従来機種「EP-704A」では、インク・カートリッジの厚さは47mm、プリント・ヘッドの厚さは36.8mmだった。

図6 インク・カートリッジやプリント・ヘッドといった印刷部の比較(図はセイコーエプソン)
図6 インク・カートリッジやプリント・ヘッドといった印刷部の比較(図はセイコーエプソン)
[画像のクリックで拡大表示]
図7 プリント・ヘッド
図7 プリント・ヘッド
[画像のクリックで拡大表示]

 インク・カートリッジでは薄型化のために、内部構造を変えた。前機種では複数のインク室を設けていたが、今回は一つにした。薄型化したものの、インクの搭載量は前機種とほとんど変わらないという。

 プリント・ヘッドに関しては、インク流路の構造を変更したり、ピエゾ素子の固定部のケースを薄くしたりした。ケースに関しては、これまで薄くするという発想はあまりなかったという。薄くなると剛性が弱まり、安定してインクが吐出されない恐れがあるからだ。だが今回、一層の薄型化のために、ケースを薄くし、ピエゾ素子の駆動方法に改善を加えることで、印刷性能を維持した。