日立製作所は、既発表の中期経営計画に関して(Tech-On!関連記事)、2015年度に主力の「情報通信システム」事業の売上高を2012年度比で約2割拡大するなど、事業別の目標と戦略を発表した(ニュースリリース)。

 情報通信システム事業は、2015年度の売上高を2兆1000億円(2012年度比18%増)、EBIT(支払金利前税引前利益)率を9.8%(2012年度は5.8%)とする計画。また、海外売上比率を2012年度の26%に対し、2015年度は35%に引き上げるとともに、サービスの売上比率を2012年度の60%から2015年度に65%超へ高めることを目指す。注力分野は、社会インフラ分野向けのスマート情報システムや、ビッグデータの利用、高信頼なクラウド、セキュリティ。2015年度の目標売上高を、社会インフラ分野は1000億円(2012年度比で約10倍)、ビッグデータ関連で1500億円(同15倍)、高信頼クラウドで5000億円(同2.5倍)、セキュリティで500億円(同1.7倍)としている。

情報通信システム事業の業績推移と予測
(資料:日立製作所)
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 「インフラシステム」事業は、2015年度の売上高を1兆円(2012年度比27%増)、EBIT率を7%超(2012年度は4.0%)とする計画だ。海外売上比率は2012年度の21%に対し、2015年度は33%が目標。サービスの売上比率は2012年度の28%から2015年度に35%超へ引き上げるとする。成長市場である中国、インド、東南アジアなどのアジア・ベルト地帯に拠点を展開していく。たとえば、高圧インバータや大容量UPSといったパワー・エレクトロニクス製品は、日本から技術供与やコア・モジュールの供給を受けて、インドHitachi Hi-Rel Power Electronics社から中東、アフリカ、東南アジアへ現地ニーズに即した製品・ソリューションを提供する。

インフラシステム事業の業績推移と予測
(資料:日立製作所)
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 「鉄道システム」事業は、2016年度に売上高を2400億円(2012年度比64%増)、EBIT率を8.0%(2012年度は3.6%)とする計画。海外売上比率は2012年度の26%に対し、2016年度は65%が目標。保守/車両リースなどのサービス事業の拡大や、世界標準規格に対応する信号システムの開発、SiCインバータの開発などで売り上げを伸ばす考えだ。

日立の鉄道システム事業のポジション
(資料:日立製作所)
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 昇降機を中心とする「都市開発システム」事業は、2015年度に売上高5600億円(2012年度比14%増)、EBIT率10%超(2012年度は7.4%)を目標とする。海外売上比率は2012年度の41%に対し、2015年度は56%とする計画。全世界需要の約3/4を占めるアジア・ベルト地帯で拡販し、2015年度には昇降機市場でシェア13%を目指す。

日立の昇降機事業のポジション
(資料:日立製作所)
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 「電力システム」事業は、2015年度に売上高5000億円(2012年度比27%増)、EBIT率11.6%(2012年度は3.3%)とする計画。なお、火力事業の業績は2013年度第4四半期以降、三菱重工業との統合会社に計上するため、2012年度実績、2015年度目標から除いている(Tech-On!関連記事)。原子力発電事業は、福島で廃炉に向けた取り組みを進める一方、安全性の向上を図り、事業を積極的に拡大していく。売上高は2020年度に3600億円(2012年度比2.25倍)を目指す。

電力システム事業のポートフォリオ
(資料:日立製作所)
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 「オートモティブシステム」事業は、2015年度に売上高1兆円(2012年度比23.9%増)、EBIT率7.0%(2012年度は4.5%)を目指す。電子制御ユニットやハイブリッド・システムなどの電子・電動化製品の売り上げ比率を拡大することで、事業の成長を図る。電子・電動化に関する研究開発投資は2015年度に2011年度の2倍となる480億円に増やし、電子・電動化に携わるエンジニアも2011年度の500人から1000人へ増やす計画だ。

主な自動車部品メーカーの電子・電動化比率
(資料:日立製作所)
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 家電・空調機器を扱う「日立アプライアンス」事業は、2015年度に売上高7000億円(2012年度比22.8%増)、EBIT率5%超(2012年度は2.2%)を目指す。アジア・ベルト地帯で増産体制と営業体制をともに強化し、同地域向けの売上高を2012年度の1400億円から2015年度は2100億円まで拡大する計画。また、LED照明や太陽光発電システムなどの環境分野を強化する。

アジア・ベルト地帯での事業拡大計画
(資料:日立製作所)
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