IGZOを用いたX線検出システム

 (1)のヘルスケア・医療については、大きく「理化学機器」「初期診断医療」「健康管理・ヘルスケア」の分野をターゲットとして位置付ける。大病院向けの先端医療分野は積極的には追わず、「より個人に密着した医療・ヘルスケア機器の分野に注力する」(水嶋氏)考えだ。

宮田喜一郎
IGZOを用いたX線検出システムで得た画像の例

 このうち理化学機器については、既に発売しているたんぱく質分析装置や医用超音波洗浄装置などがある。これらに加え、今回の記者会見では、IGZO技術を利用したX線検出システムの試作品を披露した。アモルファスSi TFTを活用したX線検出システムは既に実用化されているが、IGZO技術を用いることで分解能が向上し、「微小な病変の発見が可能になる」(同社の説明員)と説明する。なお、この試作品の写真撮影は禁止だった。

 初期診断医療については、クラウド技術を利用したIT健康システムの開発を進める。同社が推進してきたContinua Health Allianceの通信規格を利用したIT健康システムを構築し、既にインドのバンガロールで実証を進めている。2014年度前半には事業を開始する計画である。

宮田喜一郎
展示した睡眠センサ

 健康管理・ヘルスケア事業については、2012年夏モデルのスマートフォンからContinua Health Alliance規格への対応を始めており、こうしたスマートフォンと各種のセンサを組み合わせることで、さまざまなサービスを実現していく考え。さらに今回の会見では、新たなセンサとして、「肌センサ」と「睡眠センサ」を展示した。

 肌センサは、レーザを肌に照射し、その反射光から肌の明るさや油分、水分などを検出するもの。家庭への適用に向けて、小型化を進めているという。睡眠センサは、ベッドの下に配置することで、被験者の睡眠状態や呼吸、心拍を測定するもの。圧電センサによって被験者の体の動きを検出し、周波数成分に応じて各種のデータに分離する。