第10世代FPGA「Arria 10」「Stratix 10」(Altera社の資料)
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Altera社 Sr. Director of Marketing, Component ProductsのPatrick Dorsey氏
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 米Altera社は2013年6月10日、同社にとって第10世代品に当たるFPGA製品「Stratix 10」「Arria 10」を発表した。同社はこれまで「Stratix V」のように製品名にローマ数字を使っていたが、今回の製品からは世代を表す数字の「10」を使う。

 ハイエンド品のStratix 10は米Intel社の14nm世代トライゲート・トランジスタ技術で製造する。一方、ミッドレンジ品の「Arria 10」は台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)の20nm世代プレーナCMOS技術で製造する。

 Stratix 10、Arria 10とも通常のFPGAに加え、プロセサ・コア搭載FPGA(SoC)も提供する。特にハイエンド品でSoCを投入するのは「FPGA業界初」(Altera社 Sr. Director of Marketing, Component ProductsのPatrick Dorsey氏)とする。

Stratix 10は性能2倍

 Stratix 10では、最大動作周波数を1GHzと、28nm世代品の500MHzに比べて2倍に高めた。この性能向上は、Intelの14nm世代技術によるものと、新しい高性能アーキテクチャによるものが、それぞれ半分ずつ寄与しているとする。こうした高い性能は、主に有線通信機器で求められるという。

(Altera社の資料)
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 同時にStratix 10では、28nm世代品に比べて性能を一定に保ったまま、消費電力を70%低減することが可能とする。これは主にIntel社の14nm世代トライゲート・トランジスタ技術によるものであり、低消費電力性が求められる無線通信機器などで重要になるという。

 Stratix 10は1チップで従来比4倍となる400万LE(logic element)の回路規模を実現できる。また、技術の詳細は明らかにしていないが、SRAMやDRAM、ASICを別チップで2.5次元/3次元集積可能としている。このほか、従来比2倍となる56Gビット/秒のトランシーバを備え、従来比10倍のDSP性能を持つ。

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 なお、Stratix 10に搭載するプロセサ・コアの詳細は明らかにしていない。同社はこれまでARMコアを利用してきたが、「14nm世代品はARMコアとは限らず、その時点で最適な選択をする」(Dorsey氏)としている。

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Arria 10は40%低電力

 一方、Arria 10はミッドレンジ品といいながらも、性能は前世代のハイエンド品であるStratix Vよりも15%高い。さらに消費電力は前世代のミッドレンジ品である「Arria V」よりも40%低い。

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 また、Arria 10に搭載可能なプロセサ・コアは1.5GHzの「ARM Cortex-A9 MPCore」であり、これは前世代品(800MHzのARM Cortex-A9 MPCore)から性能が1.9倍に向上している。Altera社では米国オースチンの開発センターで100人以上がプロセサの開発に携わっているという。

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 回路規模は従来比2倍の100万LE。メモリはDDR4に加え、15Gビット/秒の「Hybrid Memory Cube(HMC)」に対応する。28Gビット/秒のトランシーバを16チャネル備え、従来比4倍のI/Oバンド幅を実現できる。既にテスト・チップで28Gビット/秒の動作を実現済みであり、ジッタは9psだったという。

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 Arria 10ではテスト・チップと設計環境が既に利用可能となっており、1000社以上の顧客が早期アクセス・プログラムに参加している。採用の立ち上がり状況は、前世代品の時に比べて金額ベースで5倍以上に達しているという。

 このほか、設計ツール「QUARTUS II」ではコンパイル速度を大幅に高める。これまでは2年ごとに2倍に高速化してきたが、20nm世代以降は1年ごとに2倍に高めるという。また、Altera社は2013年5月に小型電源モジュール・メーカーの米Enpirion社を買収することを発表したが、これは今回のFPGA製品においても、電源向けソリューションを提供するという点で重要な意味を持つという。

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