Maxim Integrated社, President and CEO, Tunc Doluca氏
Maxim Integrated社, President and CEO, Tunc Doluca氏
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 2013年に創業30周年を迎えた、アナログ半導体大手の米Maxim Integrated社。「Products(製品)のサプライヤではなく、高集積アナログ半導体を基盤とするソリューションのサプライヤへ生まれ変わる」とし、同社は昨年、コーポレート・ブランドを「Maxim Integrated Products」から「Maxim Integrated」に改めた。同社はここ数年、ソリューション・サプライヤへの生まれ変わりに向けて、企業買収を進めるなど着々と準備を進めてきた。この動きの原点は、2007年にPresident and CEOに就任したTunc Doluca氏にある。Doluca氏に、Maxim社の戦略やアナログ半導体業界の状況などを聞いた。(聞き手は、大久保 聡=日経エレクトロニクス)

Maxim社の戦略について確認したい。Doluca氏は2007年にCEOに就任して以来、Maxim社は企業買収に力を入れてきました。これは、それ以前のMaxim社の方針と比べると大きく異なります。なぜ、積極的な企業買収に舵を切ったのでしょうか。

 2007年に、自社の能力の補完または新たな市場への参入を目的に、人材および技術の買収を進めるという戦略的な決定を下しました。2007年から現在までに、12件の買収を完了しています。

 買収事例を二つ紹介しましょう。
 2010年、当社は米Teridian Semiconductor社を買収しました。それにより、スマートメーター市場向けエネルギー測定SoC(system on a chip)のリーダーシップを確立しました。その後、2012年には高集積化を進めたスマートメーターSoC「Zeus」を発表しました。これは、スマートグリッド用に完全なセキュリティー保護を備えた高精度の計測、計算、および通信処理の集積化における重要な進歩でした。

 2011年には、オーストリアSensorDynamics社を買収しました。この買収は、Maxim社におけるMEMS技術の向上に役立ちました。SensorDynamics社の技術によって、さまざまなタイプのセンサを、Maxim社のアナログ技術と融合できるようになったからです。MEMSモーション・センサとMaxim社の高感度アナログ機能を組み合わせた最新製品は、現在サンプル出荷中です。これらの製品は、最高レベルの精度を最小のパッケージサイズで提供します。

これまでの企業買収によって、Maxim社の売上高はどの程度高まったと思いますか。仮に、企業買収がなかったら、現在の売上高はどの程度低くなっていたと推測されますか。

 最近5年間の当社の増収は、主として有機的な成長によるものです。2008年後半以来、当社の四半期収益は約20%の成長率を示してきました。この成長のうち、現在までのところ約5%が買収に起因しています。

 当社の買収は、大部分が「事業譲渡」のような性格を持ちます。例えば、比較的小規模な会社または技術者グループを対象とするものが多いため、短期間で大きな収益増につながることはありません。

中長期的な成長には大きく貢献するということですね。