パイオニアは、2013年5月13日の取締役会で、カー・エレクトロニクス事業の強化を目的に、NTTドコモと三菱電機を割当先とする第三者割当増資をそれぞれ決議した(ニュースリリース:PDF1PDF2)。2013年3月31日現在でパイオニアの持株比率は、シャープが9.19%、ホンダが4.50%、全国共済農業協同組合連合会が4.44%などとなっているが、増資後はシャープが8.05%、三菱電機が7.49%、ドコモが6.92%となる。

 ドコモからの増資は約50億円。パイオニアは、このうち約30億円を2013年度から2015年度に、自動車利用者向けのクラウド型情報サービス分野に投じる予定。また、2013年度から2017年度に約20億円を、クラウド基盤を使った既存ビジネスの拡大に充てる予定だ。両社はこれまでにもスマートフォンなど向けの交通情報配信サービス「ドコモ ドライブネット」の提供で協力してきた。今後、両社は提携関係を強化し、自動車と通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報を提供するテレマティクス分野の事業拡大を図る。

 三菱電機からの増資は約38億円。パイオニアは2013年度から2015年度に、全額を三菱電機との次世代カーナビのハードウエア/ソフトウエア・プラットフォームの共同開発資金に充当する計画。両社はこうしたプラットフォームの開発をこれまでも共同で推進してきた。今後は提携関係の強化によってコスト競争力を高め、次世代車載機器の共同開発体制を構築していくとする。

海外へ生産移管進める

 パイオニアは2013年5月13日、2014年度までの2年間の中期事業計画を発表した(ニュースリリース:PDF3)。2012年度実績の売上高4518億円、営業利益60億円に対し、2014年度の目標を売上高5400億円、営業利益200億円とした。

 主力のカー・エレクトロニクス事業では、ドコモや三菱電機との資本業務提携のほか、原価低減を推し進める。モジュラー・デザイン方式による製品開発を本格化し、全開発工数を20%、全生産工数を10%削減するという。また、国内外の生産拠点の再編・縮小を進める。国内での生産はフラッグシップ機種に絞り、他の機種の生産は東南アジアに移管する。これら生産体制の見直しにより、2014年度に約15億円のコスト削減を見込む。さらに、提携先との経営資源を相互利用することで、2014年度に約25億円の削減を見込む。