決算について説明する同社 代表取締役副会長の串田榮氏
決算について説明する同社 代表取締役副会長の串田榮氏
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コネクタ用途別の売上高。スマートフォンや自動車、タブレット端末や電子書籍端末を含むノート・パソコンなどが前年度よりも増えた
コネクタ用途別の売上高。スマートフォンや自動車、タブレット端末や電子書籍端末を含むノート・パソコンなどが前年度よりも増えた
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スマートフォン・携帯電話機向けコネクタの受注は、中国スマートフォンの状況で乱高下
スマートフォン・携帯電話機向けコネクタの受注は、中国スマートフォンの状況で乱高下
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 ヒロセ電機は2013年5月9日に決算説明会を開催し、同月8日に発表した平成25年3月期(2012年度)の連結決算について説明した。売上高は前年度比1.2%増の959億3800万円、営業利益は同7.3%増の209億8500万円の増収増益だった。経常利益は同7.0%増の223億8600万円、当期純利益は同5.3%増の135億800万円である。

 売上高の内訳は、多極コネクタが771億4800万円、同軸コネクタが137億8600万円、その他が50億300万円である。用途別ではスマートフォン・携帯電話機向けが最も多く31%を占める。売上高は前年度比で11%伸びた。特に、韓国や中国といった日本以外のアジア圏向けが多い。アジア圏向けの割合は2011年度は約5割だったが、2012年度は約8割を占めている。

 スマートフォン・携帯電話機向けコネクタは「実際には90%強がスマートフォン向け」(同社 代表取締役副会長の串田榮氏)である。ヒロセコリアなどの関連会社を含まない同社単体のスマートフォン・携帯電話機向けコネクタの受注は、2012年度は乱高下した。原因は、中国メーカーのスマートフォン。各端末メーカーが新製品投入時期に一斉にコネクタを注文したため2012年秋に受注が急増したが、コネクタ以外の部品不足などで生産調整が入り、同年冬には受注が急減した。

 これに産業機械向け、自動車向けが続く。自動車向けは前年度比20%増の成長を見込んでいたが、中国での不買運動と一部のカーナビの不調で14%の伸びに留まった。伸びが大きいのはノート・パソコンのカテゴリ。実際にはこのカテゴリの約4割がタブレット端末や電子書籍端末であるためだ。これらを含むノート・パソコン全体では同49%増、タブレット端末と電子書籍端末に限れば約2倍に成長している。テレビやゲーム機といったデジタル家電向けは縮小傾向だ。

 直近の受注状況を見ると、ほぼすべてのカテゴリで2013年3月は好調で、同年4月はそれをさらに上回るという。2013年度の業績予想は、売上高が前年度比12.6%増の1080億円、営業利益が同19.1%増の250億円である。スマートフォン・携帯電話機向けで10%以上、自動車向けで20%、産業機器向けで13%の伸びを見込んでいる。