Samsung社の四半期売上高と営業利益の推移
Samsung社の四半期売上高と営業利益の推移
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 韓国Samsung Electronics社の2013年第1四半期決算は、前年同期比で増収増益になった(ニュースリリース:英語版)。連結ベースで売上高は前年同期比17%増の52兆8700億ウォン、営業利益は同50%増の8兆7800億ウォンだった。ただし、前期に比べると売上高は6%減、営業利益は1%減となっている。スマートフォンを中心とするIT & Mobile Communications事業は前期比でも増収増益だが、そのほかの事業の業績が前期を下回った。

 IT & Mobile Communications事業の売上高は前年同期比41%増の32兆8200億ウォン、営業利益は同52%増の6兆5100億ウォンで、共に過去最高を更新した。「GALAXY S III」や「GALAXY Note II」といったスマートフォンと「Tab2」シリーズなどのタブレット端末の売り上げが前期比で伸びている。また、売り上げ増とマーケティング費用の削減により、利益も増加した。一方で、パソコンの出荷台数は需要停滞のため減少した。

 Consumer Electronics事業は、売上高が前年同期比5%増の11兆2400億ウォン、営業利益は同52%減の2300億ウォンだった。全般に需要が減退しており、前期比でも利益が減少している。ただし、3D視聴に対応するLEDバックライト搭載の液晶テレビ「ES7000/8000」の出荷台数は前年同期比で25%増加した。また、同社の液晶テレビに占めるLEDバックライト搭載機種の売り上げ比率は前期の70%台後半から80%台前半に上昇した。Samsung社は、第2四半期の液晶テレビの需要が、LEDバックライト搭載機や、いわゆるスマートTVなどに牽引され、第1四半期を上回ると予測している。

メモリも牽引役はスマートフォン

 Semiconductor事業の売上高は前年同期比8%増の8兆5800億ウォン、営業利益は同40%増の1兆700億ウォンだった。メモリ事業では差異化製品の売り上げ構成が拡大し、利益の確保に貢献した。差異化製品とは、DRAMではLPDDR3やeMCP、高密度なサーバ向けDRAM、NANDフラッシュ・メモリでは10nm台のプロセス導入によりコスト競争力を高めたeMMCやSSDといったモジュール製品など。パソコン向けの需要が減り、スマートフォン向けの需要が伸びている。なお、SoCは季節傾向による需要減で前期に比べて収益が落ち込んだという。

 Display事業は、売上高が前年同期比17%減の7兆1100億ウォン、営業利益は同176%増の7700億ウォンとなった。需要減と単価下落により、前期比で減収減益。テレビ向け液晶パネルの出荷枚数は前期比、前年同期比ともに1ケタ後半のパーセンテージで減少した。IT機器向け液晶パネルは、タブレット端末向けの売り上げが前期比で成長した。Samsung社は、液晶パネルの需給バランスが第2四半期の終わりごろから改善するとみている。