勝本氏(左)と深谷氏(右)。背景の中央に見えるのが、新会社のロゴ・マーク
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新会社の組織。赤い★印がソニー出身者、青い★印がオリンパス出身者
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 ソニーとオリンパスは2013年4月16日、医療事業に関する両社の合弁会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」が同日付けで設立されたことを発表した。資本金は5000万円で、ソニーが51%、オリンパスが49%出資する。本社は、東京都八王子市に置く。4K×2Kや3Dといった映像技術、イメージ・センサ技術などを生かした新型の外科用内視鏡や、手術室に向けた医療機器・映像機器の統合システムの開発・設計・販売・製造を手掛ける(関連記事)

 会見には、新会社の代表取締役 社長である勝本徹氏と代表取締役 副社長である深谷孝氏が登壇。社長の勝本氏は、ソニーでカメラ事業などに携わってきた経歴を持つ。「内視鏡は医療向けに特化した形状をしているものの、中身はビデオ・カメラそのもの。そこに、我々が手掛ける意味がある」と語り、カメラ事業などで培ってきた技術を生かせることを強調した。さらに同氏は、「手術室をイメージング・スタジオ化する」と語り、ソニーが培ってきた放送機器向けの技術を生かした手術室向けの映像システムを提案していく考えを示した。

 副社長の深谷氏は、オリンパスで手術用顕微鏡や外科用内視鏡などの開発に携わってきた。同氏も外科用内視鏡について、「対物レンズ部が腹部に入るという特殊性はあるが、技術はカメラそのもの」と語り、勝本氏と同様、カメラの映像関連技術が重要になることを強調した。さらに深谷氏は、オリンパスが高い世界シェアを誇る消化器内視鏡と、新会社で手掛ける外科用内視鏡に求められる技術の最大の違いは、「リアルタイム性能」(同氏)にあると指摘。手術に利用する外科用内視鏡はリアルタイム性が不可欠であり、4Kや3Dといった映像をリアルタイムに扱う必要がある点に、ソニーの技術との融合を図る意義があるとした。

 新会社では大きな投資は計画しておらず、ソニーとオリンパスが保有する技術資産を有効活用していく考え。本社を八王子に構えた理由は、「オリンパスの事業所が近くにあるため、同社の技術資産の活用が容易になる」(勝本氏)ためだと説明する。

 2012年10月1日に実施したソニーとオリンパスの資本・業務提携会見で明らかにした通り、合弁会社では2020年に約700億円の売り上げを見込む。具体的には、外科用内視鏡機器とその関連市場について2020年までに3300億円に成長すると両社は見込んでおり、同市場において20%以上のシェア確保を狙う。オリンパスの販売網を活用し、世界的に販路を広げていく考え。

 将来的には、「ソニーのロボティクス技術を活用して、さらなる内視鏡のイノベーションを進めていく」(勝本氏)ことにも言及。手術支援ロボットなどの開発にも踏み込む可能性を示唆した。