科学技術振興機構(JST)は、産学連携支援事業として幅広く実施してきた「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」の平成25年(2013年)度の公募から、「文部科学省が推進する革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)と連携させる」と発表した。これは、文科省とJSTが2013年3月29日に開催した、革新的イノベーション創出プログラムの公募説明会の中で公表され、注目を集めた。

 研究成果展開事業の1つとして実施されているA-STEPは、大学や公的研究機関などで生まれた独創的な研究成果を、企業などが製品化・実用化につなげるための技術移転支援プログラムであり、多くの大学と企業などが支援を受けている。 A-STEPによる支援は、フィージビリティ・スタディ(FS)ステージ(ステージⅠ)、産学共同促進ステージ(ステージⅡ)、起業挑戦ステージ、 実用化挑戦ステージ(ステージⅢ)の4段階で実施されている。

 この中のFSステージでは、平成25年度から文科省が推進する革新的イノベーション創出プログラムが対象とする「少子高齢化先進国としての持続性確保」など3つのビジョン(関連記事)に沿った「提案内容で公募するように公募条件を設定する」と発表した。

 具体的には、FSステージとして申請する研究開発課題が、当該ビジョンに対して「どういう役割によって何を解決したり、貢献したりできるかを記述することを求めている」と、産学連携展開部の企画調査グループは説明する。

 FSステージは実際には「探索」と「シーズ顕在化」の2タイプがあり、「探索」タイプは原則1年間に基準170万円、「シーズ顕在化」タイプは原則1年間に基準800万円が研究開発経費として支援される。平成25年度は探索タイプを500件程度、探索タイプを50件程度採用する計画だ。平成25年度のA-STEPのFSステージの公募は2013年3月29日から始まり、締め切りは2013年5月17日正午である()。

図●平成25年度のA-STEPのFSステージの公募スケジュールなど(出典は文科省の公募資料)
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 文科省と科学技術振興機構は、今回採用するFSステージの研究開発課題の中で、「革新的イノベーション創出プログラムの各ビジョンで推進するテーマに貢献が期待できると評価された課題は、革新的イノベーション創出プログラムを推進するCOI拠点内で実施するように移行してもらうように依頼することを考えている」(産学連携展開部)という。逆に、革新的イノベーション創出プログラムでのCOI拠点構想での公募に対して提案されたものの中で、「当面はA-STEPで実施した方がいいと判定されたものは、A-STEPで実施するケースもある」と説明する。