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トヨタとデンソーなど、ステアリングで心電・脈波を測定し運転中の体調急変を予測するシステム

「第77回日本循環器学会学術集会」で展示

小谷 卓也=日経エレクトロニクス 兼 デジタルヘルスOnline
2013/03/26 17:00
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展示したシステム
展示したシステム
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ステアリングの両側に心電計測用の電極がある
ステアリングの両側に心電計測用の電極がある
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心電計測用の電極(上)と、脈波計測用の光センサ(下)
心電計測用の電極(上)と、脈波計測用の光センサ(下)
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学会における会長特別企画のコーナーに展示されていた
学会における会長特別企画のコーナーに展示されていた
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 トヨタ自動車とデンソー、日本医科大学は、自動車のステアリングを利用して運転者の心電や脈波を測定し、運転中の体調急変の予兆を検出するシステムを、2013年3月15~17日にパシフィコ横浜で開催された「第77回日本循環器学会学術集会」で展示した。トヨタ自動車などは同システムの研究開発をかねて進めていたが、実用化に向けて「多くの医師や医療関係者の理解を得るため」(同社)に、今回の学会に初めて出展した。

 運転中に突然発生する重症不整脈や心筋虚血発作は、運転者本人にとって突然死のリスクがあるだけでなく、重大な自動車事故につながる危険性がある。そこで、これらの予兆と考えられる自律神経活動や心電図の変化をできるだけ早く検出することで、運転者などに何らかの注意を促すシステムである。

 ステアリングに、心電計測用の電極と、脈波計測用の光センサを搭載する。運転者がステアリングを握ることで、心電と脈波を連続計測・記録できる。これらの計測データをリアルタイムに解析(心拍変動解析)することで、体調急変の予兆と見られる特異なパターンを見いだす。「早ければ、体調急変の約2時間前に予兆と見られるパターンが出現する」(トヨタ自動車)。

 予兆を検出した場合は、カー・ナビゲーションの画面で注意を促したり、病院や救急車、オペレータなどに簡単に連絡できたりするようなシステムの構築が考えられるという。体調急変が直前に迫っている場合には、ブレーキ・アシスト機構などとの連動も考えられる。

日常の健康管理への応用も

 今回の学会で展示したシステムは、これまでの開発品に対して、新たに二つの機能(特徴)を追加したもの。すなわち、(1)ステアリングを片手のみで握った場合でも心電と脈波を計測できるようにしたこと、(2)推定血圧を算出できるようにしたこと、である。

 (1)については、脈波の場合はもともと右手の位置に光センサが搭載されており、片手(右手)のみでステアリングを握っても計測できた。しかし、心電計測用の電極は左手と右手の位置にそれぞれ配置していたため、両手でステアリングを握らないと計測できなかった。

 これに対して今回は、シートの座面にも電極を配置することで、右手だけでステアリングを握った場合でも、右手と座面の二つの電極によって心電を計測できるようにした。ただし、ステアリングに配置する電極とは異なり、座面の場合は衣服を介しての接触になる。このため「雑音が大きくなる」(トヨタ自動車)といった課題があり、今後のさらなる改良が必要になるという。

 (2)については、脈波の計測データを独自の手法で解析することなどによって、推定血圧の算出を実現したという。具体的には、「脈波の伝播時間と複数のデータベースを組み合わせることで、血圧を推定できるようにした」(トヨタ自動車)。

 推定血圧を算出できることによって、日常の健康管理にも活用できるとトヨタ自動車などは考える。「毎日血圧を測定しなければならない人でも、面倒くさいなどの理由でなかなか続けられていないのが実態。しかし、自動車を毎日運転する人なら、ステアリングを握るだけで日々の血圧を測定・管理できるようになる」(同社)。

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