展示したシステム
展示したシステム
[画像のクリックで拡大表示]
ステアリングの両側に心電計測用の電極がある
ステアリングの両側に心電計測用の電極がある
[画像のクリックで拡大表示]
心電計測用の電極(上)と、脈波計測用の光センサ(下)
心電計測用の電極(上)と、脈波計測用の光センサ(下)
[画像のクリックで拡大表示]
学会における会長特別企画のコーナーに展示されていた
学会における会長特別企画のコーナーに展示されていた
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタ自動車とデンソー、日本医科大学は、自動車のステアリングを利用して運転者の心電や脈波を測定し、運転中の体調急変の予兆を検出するシステムを、2013年3月15~17日にパシフィコ横浜で開催された「第77回日本循環器学会学術集会」で展示した。トヨタ自動車などは同システムの研究開発をかねて進めていたが、実用化に向けて「多くの医師や医療関係者の理解を得るため」(同社)に、今回の学会に初めて出展した。

 運転中に突然発生する重症不整脈や心筋虚血発作は、運転者本人にとって突然死のリスクがあるだけでなく、重大な自動車事故につながる危険性がある。そこで、これらの予兆と考えられる自律神経活動や心電図の変化をできるだけ早く検出することで、運転者などに何らかの注意を促すシステムである。

 ステアリングに、心電計測用の電極と、脈波計測用の光センサを搭載する。運転者がステアリングを握ることで、心電と脈波を連続計測・記録できる。これらの計測データをリアルタイムに解析(心拍変動解析)することで、体調急変の予兆と見られる特異なパターンを見いだす。「早ければ、体調急変の約2時間前に予兆と見られるパターンが出現する」(トヨタ自動車)。

 予兆を検出した場合は、カー・ナビゲーションの画面で注意を促したり、病院や救急車、オペレータなどに簡単に連絡できたりするようなシステムの構築が考えられるという。体調急変が直前に迫っている場合には、ブレーキ・アシスト機構などとの連動も考えられる。