横浜市、豊田市、けいはんな、北九州市の4地域における「次世代エネルギー・社会システム実証事業」など、国のスマートコミュニティ関連施策の執行団体である新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は2013年3月18日、「スマートコミュニティセミナー」を開催した。4地域実証におけるデマンドレスポンス(DR、需要応答)の成果報告や、東北スマートコミュニティ導入促進事業の紹介などのほか、パネルディスカッションでは実証成果をどうビジネスとして展開していくかを議論した。

スマートコミュニティは、ものづくりから街づくりの段階へ

写真1●スマートコミュニティ関連事業について講演する資源エネルギー庁 新産業・社会システム推進室の小見山 康二 室長
写真1●スマートコミュニティ関連事業について講演する資源エネルギー庁 新産業・社会システム推進室の小見山 康二 室長
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 まず、「スマートコミュニティ導入施策について」と題して講演した経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 政策課 新産業・社会システム推進室の小見山 康二 室長は、「ものづくりの観点からは、エネルギー関連機器をコントロールするEMS(エネルギー・マネジメント・システム)が重要になるが、スマートコミュニティ事業は『街づくり』に踏み出す段階に来た」として、エネルギーを軸に新たな価値作りが始まっていることを紹介した(写真1)。

 EMSについては、4地域実証を通じて、デマンドレスポンス(DR)の成果が明らかになってきており、2012年夏には、20%前後のピークカット効果が確認できた。13年度は、蓄電池や電気自動車(EV)などの自動制御や、一般消費者への省エネコンサルティングなど、需要家と供給者の間で、より双方向性を高めた実証を実施する予定である。

 また、4地域実証および、それを補完する「次世代エネルギー技術実証事業」において、スマートコミュニティのビジネスモデルの萌芽が見られるという。横浜市で大京アステージが一括受電しているマンションを対象に、セキュリティやヘルスケアなどのサービスを提供している例などを挙げながら、「安心・安全など、エネルギー以外の価値まで提供することで採算性を高めるモデルの開発を期待する」とした。

 4地域実証の現状については、「横浜スマートシティープロジェクト(YSCP)」について東芝 スマートコミュニティ事業統括部の羽深 俊一主幹が、「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト(Smart Melit)」についてトヨタ自動車 技術統括部 先端・先行企画室の岡島 博司主査が、それぞれ解説した。両氏とも、12年度にEMSを使ったDRなどの成果に続き、13年度は、DRや機器制御などに、より本格的に取り組む計画だという。