東北大学工学研究科教授で江刺・田中研究室の江刺正喜氏が、2013年3月末、工学研究科を定年により退職する。4月以降も同大学で原子分子材料科学高等研究機構(兼)マイクロシステム融合研究開発センター長として、MEMS(微小電子機械システム)や近代技術史の研究開発・啓蒙活動を続ける。3月15日には、学外関係者向けの最終講義と退職祝賀会が、有志の発起人6人によって仙台市内のホテルで開催された。
同氏は、同大学工学部電子工学科の学生(学部・修士課程)時代からMEMS・マイクロシステム分野の研究に取り組み、化学/医療/圧力/慣性センサ、小型プロジェクタ、小型発電機、MEMSリレー、センサ/RF(無線周波)素子と半導体との集積化の研究開発・実用化を先導している(関連記事1、関連記事2)。
産業界のイノベーションによる活性化を目指して、MEMS関連の知見やノウハウを広く知らせる啓蒙活動を続けており、最近では量産化の障壁を引き下げる「試作コインランドリー」を立ち上げた(関連記事3、関連記事4、関連記事5、関連記事6)。2011年3月の東日本大震災で実験装置などが被災したものの、装置を自作してきた同研究室では装置メーカーに頼らずに修理できたため、いち早く復旧した。