桜の色がより鮮やかに

 具体的には、LEDが発する光の波長を最適に調整する光スペクトル制御技術を用いる。波長580nm前後の光の成分を調整することで「黄色み」を抑えて、彩度を高めた。緑の葉やもみじの赤などをより深く濃く表現できるようになるという。会場では桜の花を用意して、彩度を上げることでピンク色がより鮮やかになり、桜の花がくっきりと浮き上がる様子を見せた。

 この他、調色の工夫によって明るさと光色を心地いいバランスで変化させるLED照明「シンクロ調色」では、価格を大幅に見直した。シンクロ調色は、「心地いい光の色」とはただ単に明るさ(調光率)や光の色(色温度)のそれぞれを調整しただけでは十分ではなく、両方をセットで調色するという考え方だ。

 具体的には、明るさと色温度の関係から「居心地のいい光色ゾーン」を定義する。このゾーンは、オランダの物理学者A.A.Kruithof氏の研究による「クルイトフの快適領域」に基づいている。今回、パナソニックはシンクロ調色の製品ラインを増やすと共に、すべての商品を2万円ほど安価に設定した。

女性ユーザーを狙いイメージを刷新

 肌色をきれいに見せるという方向性は、他のメーカーも追及している。東芝ライテックは「キレイ色(いろ)」と呼ぶブランドでLED電球を既に展開中だ。同社によれば、この製品の演色性はRa90で、美容関係業界のフロアやパウダールーム、洗面台での使用を提案している。利用者の主なターゲットが女性であるため、既存のそっけないデザインのイメージを刷新。包装パッケージを華やかにした。

写真は東芝ライテックの展示ブース。左は、従来LED照明(写真中の左)と高演色LED電球「キレイ色」(同右)の比較。中央は、トリプルアーチ放熱板とヒート・セパレート方式を組み合わせた80W形相当のLED電球の展示。右は、照明器具個別制御システム「T/Flecs(ティーフレックス)」向けの人感センサを用いて照明をオン/オフするデモの説明パネル。(写真:グラナージュ)
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 同社は、発熱電球で80W形相当と明るいLED電球に新しい放熱技術を採用。2013年4月下旬に発売する。従来の「トリプルアーチ放熱板」に加えて、「ヒート・セパレート方式」と呼ばれる放熱技術を取り入れた。ヒート・セパレート方式は、蛍光体をグローブ部分(半球状のカバー部)に混ぜることでLED自体に伝わる熱を分散させる技術だ。これにより、LED自体の温度を低減させ、発光体から出た熱をグローブ全体からも効率良く放熱できる。2種類の放熱技術を組み合わせることで、電球色で1160lmを実現した。

 この他、東芝ライテックは照明器具を個別に制御するシステム「T/Flecs(ティーフレックス)」向けの人感センサを開発した。2013年4月に発売する。

 東芝が開発した画像認識技術と東芝ライテックの照明制御技術を統合した人感センサである。特徴は、検出範囲内で人の動きが少ない場合でも人の存在を検出できることに加えて、検出範囲を調整できることだ。これにより、オフィスで着席している執務者を検出可能な他、オフィス内のレイアウト変更にも柔軟に対応しやすくなったという。