小回りが利く体制で大手に挑む

 主に販売を担当するのは、NKワークスとメリテック。両社の販路を用いて5社が扱う製品を組み合わせた照明システムを顧客に提案する。1社ずつでは提案できる分野が限定されてしまうが、複数社が協力し合うことで、いわば「LED照明のトータル・ソリューション」を販売できるようになるというわけだ。

 各社は中小規模の企業ではあるが、小回りが利く企業が集まることで大手メーカーにはない特徴を打ち出せると考えている。例えば、製品開発や顧客対応のスピード感だ。顧客企業の要望に応じて商品をカスタマイズする際にも、大手では対応しにくい細かい部分に手が届きやすいという。

 展示会では多くの参加者がRe:rayブランドのブースを訪れ、関心を寄せていた。統一ブランドの下、ブースを一つにまとめたことで顧客の反応が良くなったという。実際に参加企業が協力しながら客の要望を取り込み、最適なソリューションに落とし込めれば、LED照明の新しいビジネスの姿を構築できる可能性を秘めた取り組みといえるだろう。

「中国色」を薄めて市場獲得を目指す

ETiのブース。AEGブランドを前面に押し出した
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 新規参入組の中では、中国企業の中にも日本でのビジネス展開で新たな方向性を打ち出している企業が出てきた。2012年3月に開催された「LED Next Stage」には、日本市場への本格展開を目指す中国企業が大挙して出展した。今回のライティング・フェアでも多くの中国企業が展示ブースを構えた。

 ただし、日本国内で中国企業は思うように業績を伸ばすことができなくなっている。昨年以降の日中間におけるさまざまな問題に加え、今年に入ってからの急速な円安によって日本メーカーとの価格差が縮まり「中国のLED照明=低価格」という図式が成り立ちにくくなっているためだ。

 そうした中で、中国企業が打ち出し始めた取り組みはブランド戦略である。製品からなるべく中国色を除くことで、日本の顧客向けに製品をアピールしようというわけだ。

 例えば、ETI-LED Solutions Japan(ETi、東京都品川区)は、ブランドライセンス契約を結ぶドイツ・ブランド「AEG」を日本では全面に出し、企業イメージを構築する戦略に転換した。同社の本社は、中国の広東徳豪潤達電気。中国では、LEDのチップから照明の最終製品までを製造する大手企業だ。

 昨年までは「ETi」ブランドの認知を高めることに力点を置いた展示ブースだったが、今回は「AEG」ブランドを前面に押し出した。現在、同社は日本で主にはOEMビジネスに注力しているが、AEGブランドを積極活用することで独自ブランドでの販売を増やしことを目指す。

 LED照明産業への新規参入組は大手企業の販売網や技術に対抗する一手として、自らのビジネスモデルをいち早く変え、ブランド構築に力を入れている。こうしたダイナミズムが続く限り、LED照明の普及と新しい照明スタイルの提案は止まりそうにない。

■変更履歴
掲載当初、ライティング・フェア2013の開催日の表記に誤りがありました。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。 [2013/3/18 17:00]