「白熱電球や蛍光灯からLED照明へ」というパラダイム・シフトは、照明業界に大きな変化をもたらした。その一つは、多くの企業による新規参入という風が吹き込んできたことだ。かつては、パナソニックや東芝といった古参の大手企業が圧倒的な存在感を放っていた。そこに多くの新規参入組が加わることで、新しいデザインやビジネスモデルを模索する動きが活発になった。背景にあるのは、設計やデザインの自由度の高さというLED照明の特徴だ。

 ただし、新市場が勃興する時期が一段落し、世の中でLEDの採用が当たり前になるにつれ、新規参入組が壁を感じ始めていることも事実だろう。例えば、他の企業との価格競争や、製品の差異化だ。普及が進み、価格低下が進行する中、大手メーカーのブランド力や機動力に対抗する取り組みを、これまで以上に真剣に考える必要が出てきている。大手と同じような特徴のビジネス展開では、多少高価でも有名メーカーのブランドが付いた製品を顧客が選んでしまうことが多いからだ。

 その壁を新しいビジネスモデルで越えようとする新規参入組の取り組みが活発になっている。2013年3月5日~8日に東京で開催された「ライティング・フェア2013」では、こうした業界の動きを背景にした新規参入組の工夫が目立った。

小異大同、新規参入組がタッグを組む

 それを象徴する取り組みの一つは、「Re:ray(リレー)」というブランドが目指すLED照明の新しいビジネスである。

「Re:ray(リレー)」のブースの様子。高天井用のダウンライトから、蛍光灯、スポットライト、フラット照明、デジタルサイネージなどさまざまな製品をそろえる。島根電子今福製作所が保有する特許技術「COMM(Chip On Metal Module)」を採用した製品も並ぶ(右の写真)。(写真:グラナージュ)
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 このブランドは、写真現像用のミニラボ機器などで有名なノーリツ鋼機が2012年7月に立ち上げた。同社グループの産業用機器商社であるNKワークスが中心となって環境ビジネス関連の企業群をたばね、複数社によるコンソーシアム体制で「Re:rayブランド」を冠した製品を販売していく。

 その中の大きな商材の一つがLED照明。得意とする商材やビジネス分野が異なる5社がタッグを組む。アミューズメント・ホールのような高い天井に取り付けるダウンライトに強みを持つライトビーム(大阪市)、オフィスや商業施設向けのLED照明分野が得意な島根電子今福製作所(島根県浜田市)、文字看板やデジタルサイネージを主力製品とするデジライト販売(タカショー傘下、和歌山県海南市)、LED照明などを手掛けるメリテック(大阪市)の4社と、NKワークス(和歌山県和歌山市)である。