塗布方式の新技術、製造コストを大幅に低減

 今年、初めて有機EL照明を出展した日立製作所は、「高効率塗布型有機EL光源」と呼ぶ新技術が注目を集めた。この技術は発光効率が70lm/Wと高く、1回の塗布でRGB(赤色・緑色・青色)の発光層を形成できる。従来の塗布方式はそれぞれの色の発光層を3回に分けて形成する必要があった。

 もともと塗布方式は、真空中での作業を必要な現在主流の蒸着方式に比べて、製造コスト低減しやすいとの意見が多い。日立が開発した塗布方式は3回の塗布工程を1回にできるため、さらに製造コストを下げられるという。具体的には、「R」と「G」の発光材料に「置換基」と呼ばれる特殊素材を加える。これにより、時間が経つと3層の発光層に分離する仕組みを実現した。

 蒸着方式は、発光効率は良いが製造コストが高い。また従来の塗布方式は、製造コストを抑えられるが発光効率が低い。今回開発した技術は、これら二つの方式の良いところを合わせたパネルを実現する可能性がある。この技術を用いることで、蒸着よりも製造スピードが上がることに加え、発光効率が高く、製造コストが下げられるメリットがあるからだ。ただし、量産の予定は未定である。

日立製作所の「高効率塗布型有機EL光源」の説明パネル。(写真:グラナージュ)
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日本精機の有機EL商品。(写真:グラナージュ)
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 日本精機は、昨年90mm角の有機ELパネルのサンプル出荷を開始しているが、今回モデルチェンジを行なった。新たに加えたのは、パネル寸法が125mm角と280mm×37mmの製品だ。これらを加えて2013年4月に発売する。価格は、90mm角(45lm)が6000円、125mm角(70lm)が9000円である。76.2mm角で14lmのカラー有機EL照明も現在開発中だ。