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鈴木氏(右)と岡田氏
鈴木氏(右)と岡田氏
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 加速度センサや角速度センサ(ジャイロスコープ)を開発・販売しているワコーが、次のターゲットとするのが力覚センサだ。受ける力を3軸で定量化する。直径10mm程度の小型品を10万円以下で販売し(関連記事)、まずは各種ロボットへの搭載を狙う。部品の穴への挿入(はめ合い)、研磨、コネクタの装着など、力のフィードバックが求められる産業用途で力を発揮する。「ゆくゆくは、加速度センサやジャイロと同様、スマートフォンなどの身近な民生機器への標準搭載を実現させたい」(代表取締役社長の岡田和廣氏)。

 ワコーの開発した力覚センサは、1988年の創業以来ずっと培ってきたMEMS技術を使う。2012年秋に市場に投入した直径10mm、高さ7mmの小型品は、ピエゾ抵抗型である。力を受けることによる構造体の動きを複数のピエゾ抵抗素子の抵抗変化で検知し、3軸の力の大きさを求める。検知できる力の大きさは最大1kg重程度(高さ方向のz軸で最大10N)。産業用ロボットで、人の手による工程の代替を狙ったためである。過負荷を与えなければヒステリシスは3%以下。従来、同様の機能を実現しようとすれば60万~70万円のセンサが必要だった。ワコーの製品では、センサ部が9万8000円、アンプ部を組み合わせても14万8000円と、大幅に安価である。産業用ロボットのほか、サービス・ロボットや医療用ロボットなどに広く利用できると同社では期待している。