今回の伝送実験で採用した主要技術のイメージ図
今回の伝送実験で採用した主要技術のイメージ図
[画像のクリックで拡大表示]
左が移動局装置。右がその内部の様子。
左が移動局装置。右がその内部の様子。
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTドコモと東京工業大学は、屋外の移動通信環境下で、最大10Gビット/秒のパケット通信の実験を行い、信号伝送に成功したことを発表した。上り最大10Gビット/秒のパケット通信を屋外の移動通信環境で実現したのは「世界初」(NTTドコモ)という。将来の超高速移動通信サービスへの適用を視野に入れている。

 実験は沖縄県の石垣市で行った。平均時速9kmで移動している移動局装置から、11GHz帯の周波数を使って電波を送信した。信号のチャネル帯域幅を400MHzと幅広くとったほか、多重度の高いMIMO技術を活用することで、極めて高いデータ伝送速度を実現した。なおNTTドコモはこれまでに、屋外の移動通信環境下において、下り最大5Gビット/秒のパケット伝送を実現している。

 NTTドコモは、今回の実験で用いた技術を下りのパケット伝送に用いれば、「現在提供しているXiでの受信時最大100Mビット/秒の約100倍となる、下り最大約10Gビット/秒の高速通信も可能」(同社)としている。

 今回はMIMOの空間多重数を、送信側8で受信側16と拡大しているほか、一次変調方式に64値QAMを、また受信回路における受信性能を高めるために「ターボ検出」と呼ぶ繰り返し手法を導入した。NTTドコモなどは、今回のように高い周波数帯で多重度の高いMIMO伝送を行うシステムについて、国際標準化の場で提案していくという。なお、今回の伝送実験の詳細に関して、2013年2月27日から早稲田大学 西早稲田キャンパスで開催中の「電子情報通信学会 無線通信システム研究会」において発表する予定。