1分間に1コンテンツのペースで投稿が

 一つは、その形状だ。GoProは外形寸法が42mm×60mm×36mmほどで、重さが100gを切る小さなカメラである。一般的なコンパクト機とほぼ同じ直方体の形状をそのまま相似形に小さくした。この形が、アウトドア・スポーツなどで使いやすかったのだという。「直方体の形状は、さまざまな場所に取り付けやすい。小型にしたことで、撮影する向きなどを選ぶ自由度が高くなった」(Shaikh氏)。

 例えば、他のメーカーのアクション・カメラには、円筒形など奥行きが長い形状の製品がある。この形状では、アウトドア・スポーツの現場で取り付けられる場所に制限が出てくるのだという。Woodman Labs社の創業者はサーフィンが趣味。自分の技術を自慢したいというキッカケでGoProを開発した。「それまでは、自分の活動を写真や動画に残す手段がなかった。GoProユーザーは、自分の生活をキャプチャーしたいんだよ」と、Shaikh氏は話す。実際の利用シーンに合わせたユーザー体験を高めるデザインが、ヒットの秘訣だったというわけだ。

創業者の趣味はサーフィン。こうしたイメージの写真や映像を撮影したかったのだろう。(写真:GoPro)

 Shaikh氏が挙げたもう一つの理由は、ソーシャル・メディアのコミュニティーをうまく作り上げたことである。「ソーシャル・メディアのGoProコミュニティーは、とても活発。FacebookやYouTubeには、GoProで撮影した写真や動画が1分間に1コンテンツのペースで投稿されている」。もちろん、Facebookなどを通じたユーザーとのコミュニケーションの工夫はあるが、ここにも利用シーンに合わせたカメラ自体の機能が隠れている。

 例えば、ボタン一つで撮影した動画の上下を反転できる機能だ。スポーツの撮影では取り付け位置に制限があるため、カメラを上下逆さまに取り付けなければならないことも多い。そうした場合でも、動画や写真の上下を反転する変換の手間を省いて、ソーシャル・メディアにすぐに投稿できる。170度の広角レンズの採用もその一つだろう。広い視野角ならば、いちいち撮影アングルを気にしなくても、撮影ボタンを押しておくだけで必ず何かが写っている状態にできる。