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 三菱電機は、定格電圧が1200V、定格電流が1200Aと、FA機器や昇降機、太陽光・風力発電システムなどの産業用途にも使える大容量のフルSiC(炭化ケイ素)パワー半導体モジュールを開発し、2013年2月14日に開催した同社の研究開発成果披露会で発表した。これまでも、Si製のMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)とSiC製のSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)を組み合わせたハイブリッドSiCパワー半導体モジュールでは、これを超える容量のものもあった。しかし、MOSFETもSBDもSiC製のフルSiCパワー半導体モジュールとしては、世界最大容量になるという。

 SiC半導体はSi半導体に比べて絶縁破壊強度が約10倍と高いことからオン抵抗を低くでき、かつスイッチング損失が少ないことからスイッチング速度を上げられる。スイッチング速度が速いと、駆動波形を成形するパルスを細かくできる上、個々のパルスの立ち上がりや降下を急峻にできることから、駆動波形を適正化しやすい。これがオン抵抗の低さと相まって低電力損失化につながる他、冷却器を小さくして適用機器の小型・軽量化に貢献する。開発したフルSiCパワー半導体モジュールでは、Siパワー半導体モジュールに比べて、電力損失が約75%低い上、冷却器の体積が半分と小さい。