サイバネットシステムは、米ANSYS社の汎用有限要素法解析ツール「ANSYS」の最新バージョンである「ANSYS 14.5」の日本語版の国内出荷とサポートを2013年1月下旬より随時開始すると発表した(ニュース・リリース)。ANSYSは、構造や熱流体、電磁界、回路、システムなどの様々な物理現象やそれらを組み合わせた連成問題を、目的に合わせて柔軟に解析することができる「マルチフィジックス解析ツール」だという。

図1●亀裂のジオメトリの挿入(メッシング結果) ANSYS社のデータ。
図1●亀裂のジオメトリの挿入(メッシング結果)
ANSYS社のデータ。
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図2●ANSYS Fluent上で動くTGrid ANSYS社のデータ。
図2●ANSYS Fluent上で動くTGrid
ANSYS社のデータ。
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 最新版のANSYS14.5では、これまでと同様に、解析分野間の連携を強化した。また、構造解析分野では、統合操作環境である「ANSYS Workbench」上での解析機能の適用領域を拡大させた。構造解析、熱流体解析、電磁界・回路・システム解析の各分野での主な機能拡張は以下の通り。

 まず、「構造解析」分野。この分野では、接触機能を強化した。接触要素を大幅に削減可能な「接触のトリム」機能のほか、収束性向上に役立つオプションを多数追加した。また、「接続マトリクス」機能により、ANSYS Workbench上で接触、ジョイント、メッシュ接続、バネなどの領域を一覧で確認できるようにした。これで、パーツ間の接触抜けの有無を、視覚的にチェックすることが可能になった。

 また、破壊解析をANSYS Workbenchで行えるようにした。ここで破壊解析とは、亀裂先端に生じる「応力拡大係数(K)」、「J積分値」、「エネルギ解放率(G)」などを算出することで、破壊基準の充足を確認する手法である。自動メッシュ機能により、亀裂部分のメッシングも簡単に行えるという(図1)。また、J積分や応力拡大係数、VCCTの出力(コンター図、グラフ、リスト出力)ができる。

 続いて、「熱流体解析」分野。この分野では、「ANSYS Fluent」と「ANSYS Maxwell」との間で双方向連成解析が可能になった。また、ANSYS Fluent用のハイエンド・メッシャー「TGrid」が、ANSYS FluentのGUIに統合された(図2)。これで、ジオメトリの読み込みからメッシング、流体解析までの実行をシームレスに実施できるようになるという。