日本電信電話(NTT)は、国立大学法人大阪大学(阪大)および国立大学法人電気通信大学(電通大)と共同で、生物由来の「ゆらぎアルゴリズム」を仮想ネットワークの制御へ適用することに、世界で初めて成功したと発表した(ニュース・リリース)。この制御技術を適用することで、事前に予期できない災害や重大な事故が発生した場合に、迅速にネットワークを復旧することが可能になるという。

 発表によれば、最近、クラウドの進展などに伴いネットワーク・サービスが多様化し、急激なトラヒック量の増減が発生しやくなっている。また、同一のネットワーク上で複数のサービスが提供されるため、サービスごとに安定したネットワークサービスを運用することがBCP(事業継続計画)の観点からも重要視されているという。

 こうした課題に対応するためには、物理ネットワーク上に複数の仮想ネットワークをサービス単位で構築し、ネットワーク機能のカスタマイズや運用制御を実現することが必要である。また、トラヒック量の突発的かつ不規則な変化に柔軟に対応することが求められる。NTTは、阪大が解明した「ゆらぎアルゴリズム」に注目し、同社と阪大、電通大の3者で仮想ネットワーク制御技術の研究開発を進めてきた。その中で、今回、生物由来の「ゆらぎアルゴリズム」を仮想ネットワーク制御へ適用することに、世界で初めて成功したという。

 成功に至ったのは3者の強みを融合できたためだとする。発表によれば、阪大は「生体ゆらぎ」の情報システムへの応用に強く、NTTはネットワーク制御技術、電通大は通信プロトコルにそれぞれ強みがある。今回の制御技術を用いることで、仮想ネットワークが環境変化を察知し自律的かつ適切に経路を選択するようになる。そのため、トラヒック量の急激な増減や大規模災害が発生した場合においても、状況に応じた最適化やネットワーク復旧を実現できることを実証した。