試作した伝送装置
試作した伝送装置
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寸法は250mm×232mm×46mm
寸法は250mm×232mm×46mm
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 情報通信研究機構(NICT)と日立国際電気、アイ・エス・ビーは、地上テレビ放送用の周波数帯(470M~710MHz)を、半径10k~40km程度の無線通信に活用するための伝送システムを開発、実証試験に成功した。テレビ放送用に割り当てられた周波数帯を、別の用途に使うコンセプト「TVホワイトスペース」の実用化に向けた試験である。災害時の緊急無線インフラなどに用いることを想定する。

 米IEEEが策定したTVホワイトスペースの無線通信規格「IEEE802.22」に準拠した。同仕様は2011年7月に承認されていたが、実際に伝送システムが試作され、通信を試験したのは今回が初めてという。

 今回試作した無線伝送システムは、基地局から半径10k~40km程度の通信エリアにおいて、最大20Mビット/秒で通信できるシステム。基地局側装置と加入者側装置で構成し、送信出力は1Wである。IEEE802.22に準拠しており、1チャネル当たりの帯域幅は5.6MHzで、マルチアクセス方式にOFDMAを使っている。

 通信を始める前に、チャネルの空き状況を確認するため、「ホワイトスペースデータベース」にアクセスする。同データベースには、場所や時間帯に応じて利用可能なチャネル情報が登録されている。テレビ放送など、一次利用者への干渉といった問題を、この工程を経ることで回避する仕組みだ。ホワイトスペースのデータベースは、アイ・エス・ビーが提供する。データベースの基となっているのはNICTの開発品だが、それにアイ・エス・ビーが独自開発した機能を加えている。NICTなど3者は、実証試験の詳細について、2013年1月30日から米国マイアミで開催される「Super Wi-Fi Summit」で発表する予定。