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 調査会社のBCNは2013年1月16日、デジタル家電の2012年末商戦の分析結果を発表した。家電量販店などのPOSデータを集計した「BCNランキング」に基づくもの。これによると、2012年秋に登場した7型品の好調によりタブレット端末市場が急速に立ち上がっているという。また、デジタル・カメラは2極化が進み、高級コンパクト・カメラやレンズ交換型カメラが好調だとした。

 分野別では、スマートフォンが前年よりも伸びが鈍ったものの、依然として高い成長を示している。タブレット端末を含むパソコン全体は微減で、デジタル・カメラは一時の前年割れのトレンドを脱しつつある。一方、薄型テレビは依然として不調だ。この分野は年末商戦自体がほぼ消滅したという。それ以上に深刻なのがレコーダーの市場縮小。薄型テレビのほとんどが外付けハードディスクへの録画機能を搭載するようになった影響である。

 ノート・パソコン、デスクトップ・パソコン、タブレット端末を含むパソコン全体の市場は、2012年春から夏にかけて台数ベースでほぼ前年並み、金額ベースで前年を割り込む展開だったが、同年11月と12月は台数ベースで前年同期比2桁増の大幅な増加になった。これは、全体に占めるタブレット端末の構成比が上がったためだ。タブレット端末の構成比は同年9月には15.0%だったが、10月には19.8%、11月には30.5%、12月には32.0%にまで上がっている。

 これに大きく貢献したのが、米Google社/台湾ASUSTeK Computer社の7型品「Nexus 7」と米Apple社の7.9型品「iPad mini」である。特にNexus 7の好調が際立っており、タブレット端末市場における2012年12月のシェアは、Apple社が40.1%に対し、ASUSTeK社が44.4%とついに追い抜いた。「タブレット端末でApple社が抜かれたのは初めて」(BCNのアナリストである森英二氏)だという。

 スマートフォンは一時の勢いはなくなり、台数や構成比の伸びは緩やかになってきた。携帯電話機全体における構成比は8割程度で落ち着いている。メーカー別シェアでは相変わらずApple社が強いが(2012年11月で52.0%、12月で32.1%)、同年12月には「AQUOS PHONE ZETA」の好調でシャープが19.3%までシェアを伸ばしている。

 デジタル・カメラは、2012年12月の時点で台数ベースでは95.1%と前年割れなのに対し、金額ベースでは104.7%と前年を上回った。これは、高級コンパクト・カメラやレンズ交換型といった高級品が伸びているためだ。

 1.7型未満の撮像素子を搭載する普及価格帯のコンパクト・カメラは、台数/金額ベースともに2012年を通して一貫して前年を下回っている。これに対し、1.7型以上の撮像素子を搭載する高級コンパクト・カメラは、台数/金額ベースともに通年でほぼ前年比2桁増になっている。ただし、高級コンパクト・カメラの構成比はまだ低い。2012年12月時点でのコンパクト・カメラ全体に占める構成比は、台数ベースで4.0%、金額ベースで12.6%である。この分野はキヤノンがトップシェアであり、復活した富士フイルムがこれを追う形になっている。

 レンズ交換型カメラは2012年3月から12月にかけて、金額/台数ベース共に前年比増を達成している。ミラーレス・カメラと一眼レフ・カメラの両方が好調だという。2012年12月時点でのミラーレス・カメラの構成比は、台数ベースで50.0%、金額ベースで39.0%である。平均単価は、2010年から2011年にかけては比較的安価なミラーレス・カメラの普及で下がったが、2012年は2011年に比べてほとんど下がっていない。