日本のエレクトロニクス関連メーカーが販売している空気清浄機には、殺菌や脱臭といった効果をうたう粒子を放出するものが多い。メーカー各社が名付けた粒子の例としては、シャープの「プラズマクラスターイオン」やパナソニックの「ナノイー」がある。ところが、そうした粒子自体には殺菌効果がほとんどなく、実際の殺菌は、同時に発生するオゾンが担っているとする論文が公開されている。2012年4月に開催された第86回日本感染症学会総会で発表され、同年11月20日に発行された「感染症学雑誌 Vol.86 No.6」に座長推薦論文として掲載された「殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の、寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析」(リンク)である。

 発表したのは、国立病院機構 仙台医療センター 臨床研究部 ウイルスセンターの西村秀一氏。論文では、シャープの「プラズマクラスターイオン発生機」、パナソニックの「ナノイー発生機」、キングジムのイオン発生式空気清浄機「ビオン」の三つの機器について殺菌能力を調べた。その結果、極めて狭い空間では、製品に一定の殺菌効果があることを確認できた。

 ただし、メーカーがプラズマクラスターイオンやナノイーと呼んでいる粒子を除去しても殺菌効果は変わらなかった。一方、各粒子と同時に発生するオゾンを除去すると殺菌効果が激減したという。このことは殺菌作用の本体がオゾンであることを強く示唆すると結論付けている。